[アバルト70年の歩み]特別コンテンツ

ロードテスト ポルシェ911 ★★★★★★★★★☆

2019.06.16

快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆

時を経るごとに、ポルシェは911の運動性のレパートリーを広げ、純然たるスポーツカーではなくグランドツアラー色が濃いものだと見なされるようになった。そう考えるひとびとが指摘するのは、否定しがたい重量増加と抑えられたサウンドのキャラクターだ。後者は、かつてのロードテストのデータが明確に示している。997型と比べると992型の静粛性は、アイドリング時に劇的に高められているのみならず、巡航時のそれも向上しているのだ。

とはいえ、やはり走っていて特別穏やかに過ごせるクルマでないことに変わりはない。ステアリングの重さとこのクルマの踏ん張りの増したスタンスは、足取りの確かな質の快適性をもたらし、ドライビングポジションはほぼ完璧だ。しかし、このクルマをGT的なものとみなすなら、タイヤノイズが問題だ。その大きな原因は後輪にある。エンジンの重さを支えるために、ポルシェは構造部の剛性を強化し、305セクションの巨大なタイヤの空気圧を高めたのだが、その弊害として、路面の不整を拾って車内に伝えてしまうのだ。

ヴァンテージも、2015年にテストしたアウディR8 のV10モデルも、高速道路での静粛性は上だ。しかも、911は息遣いのような、タイヤの発する騒音が消えることはめったにない。とはいえ、PASMのオプションである10mmダウンのスポーツサスペンション仕様でも、この992は非常にスムースに走る。

タイヤノイズと同じ原因で、完璧にスムースな路面でなければ、わずかばかり足元に問題が起きるのだが、それは秀逸なボディコントロールを考えれば許容できる。視認性は最高で、あらゆる運転操作に対するリニアなレスポンスは決定的なプラス要素だ。922ほど、普段使いで付き合いやすい911はこれまでになかった。

 
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