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1970年代の名車 オレンジ色の個性派 BMW CSi アルファ・ロメオ・モントリオール

2019.06.18

柔軟なエンジンに乗りやすいボディデザイン

低速域では重いステアリングに、まともな大きさの後部座席もラゲッジスペースも備わらないから、BMWと比べると明らかに使い勝手は悪い。だがエンジンはスムーズで洗練されており、回転域を問わず力強いトルクを発生してくれる。アイドリング時は静かだが、アクセルを強く踏み込めば勇ましいエグゾーストノートを響き渡らせる。イタリア製のエキゾチックな4カムエンジンのあるべき姿に、近い印象を与えてくれる。

音響だけで比較するとBMWより速そうだ。しかし直線で並ばせると、BMWとは互角。特に高回転域では、5速目がオーバードライブではなくトップギアと同じだから、必要性はBMWの4速目と大差なかったりする。

一方で3.0 CSiのゲトラグ製トランスミッションは、スムーズさでは劣っている。アクセルペダルを蹴飛ばすと、バイエルン地方生まれのクーペは、セミトレーリングアームで支えられるリアを沈ませ、元気いっぱいにアスファルトを進んでいく。シルキーな6気筒から聞こえてくる音は、いかにも1970年台のBMWのものだ。

男前なSOHCの直列6気筒エンジンは30度傾けられて、低いフロントノーズに収まっている。アイドリングでやや不安定に回転数が上下するが、回転すを上げれば記憶にある古い「ビーエム」の雄叫びを聞かせてくれる。6500rpmがレブリミットで、3速で160km/hにまで届くが、そのギアのまま通りをのんびり流すのも造作ない柔軟性がある。

大きなガラス窓に覆われ、全方向に視界は良好。ドライビングポジションも素晴らしく、キーをひねる前には、既に車両感覚をつかめたような感じさえある。CSiのそれは、モントリオールのインスツルメント・パネルと比べるとカッコ良さでは及ばないし、計器類も全体的に小ぶり。エレガントで木目が綺麗なウッドパネルは堅実な雰囲気で、不思議と信頼感が湧いてくる。

しかしこれは見た目だけの印象。カルマン社が組み立てたBMWを製のクーペは、防錆処理も甘く、防水処理も充分ではない。アルファ・ロメオを横目に、サビの進行は遥かにひどいと気付いた。見かけによらず意外にも、モントリオールの方が耐久性では上なのだった。

今回のオレンジ色に塗られた2台は、1970年初めに誕生した当時でも、最速ということはなかった。アルファ・ロメオはスーパーカー然としたスタイリングが生む高い期待から、一層評価の面では不利だった。最もハンドリングの面で自信を持っていた自動車メーカーが、プライドにかけて生み出したフラグシップ・クーペなのだ。

 
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