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1970年代の名車 オレンジ色の個性派 BMW CSi アルファ・ロメオ・モントリオール

2019.06.18

表れたアルファ・ロメオとBMWの個性

正しい姿勢と速度でコーナーへ進入すれば、モントリオールの安定性は高く、挙動も充分予見できる範囲に留まる。ノーズヘビーな重量配分と、リジッドアスクルの限界を超えた次元の印象すらある。もし優れたパワーステアリングがあれば、ステアリングレシオを高めて、クイックにもできたかもしれない。このままでも、フィーリングやフィードバック、操縦性などは充分納得できるバランスにある。

タイトな低速コーナーでは、アンダーステアはほとんど発生せず、長く続く高速コーナーであってもその兆候は穏やか。サスペンション・スプリングはソフトな設定で、乗り心地の良さ以上に大きなボディロールを生んではいるが、コーナリングは楽しい。

とはいえ、アルファ・ロメオ1750や2000GTVのように、九十九折の道を爽快に駆け抜ける楽しさ、という点では欠いている。新車当時、オーナーの中にはアンチロールバーを太いものに変えて、コーナリング特性を良くするひともいたようだが、アルファ・ロメオはモデルライフを通じて改めることはなかった。アルファ・ロメオ自身がモントリオールへの興味を失ったのか、何を一番にするべきかを見失ったのか。プロトタイプ発表から生産までの4年間のうちに、本当の理想像が見えなくなってしまったのかもしれない。

反面、BMWは3.0 CSiはどうあるべきかを明確に指し示していた。2002などのコンパクトモデルに興味を示したドライバーに対し、上位モデルへも目を向かせるという難しい役目も果たし、間違いなく成功したといえる。3.0 CSiは、当時のミュンヘンの自動車メーカーが生み出す最高級モデルでもあったのだ。

きついコーナーでも緩いカーブでも3.0 CSiは積極的に走り、高速道路を流せば静かなクルージングも楽しめ、都市部での駐車も容易。走りは落ち着きに溢れ、乗り心地はスムーズで知的。加えて運動神経も優れている。ステアリングは1970年当初としては妥当な、軽さと正確性を兼ね備えており、ボディロールを抑え込む脚周りと相まって、シャシー性能をしっかり発揮させることができる。

45年前のクルマにも、現代のBMWと通じる実用的なリアシートと大きいラゲッジスペースを備えていることがわかる。BMWとはそういうメーカーなのだ。BMWのクルマには本質として素晴らしいコンセプトが宿っている。この3.0CSiは、それを体現したクルマとして、いまのわたしには最も美しく所有欲を掻き立てるモデルとして写っている。

モントリオールもいいクルマだ。アルファ・ロメオらしい。1970年台のエキゾチックさがたまらない。BMW 3.0CSiとはまったく異なるモデルながら、イタリアンデザインの不合理なところも宝石のように感じられる。この対象的な2台を所有するルイスは、なんと幸せな男なのだろうか。

 
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