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4ℓV8の孤高の魅力 メルセデス-AMG GLC 63Sクーペ フェイスリフト版に試乗

2019.06.26

どんな感じ?

電子デバイスは有効ながら、過信は禁物

G63 Sクーペの最大の驚きは、1945kgもの車重を持っているのにも関わらず、極めて俊敏で安定した運動性能を備えていること。着座位置が高く前方視界も良好なこともその一因。またテスト車両にはオプションのカーボンセラミックブレーキが装着されており、カーブの連続する区間での効果的な減速率には、驚愕してしまう。

一般道を飛ばして走るなら、ドライビングモードはスポーツかスポーツ+を選んでおけばいい。ダンパーとエアスプリングが引き締まり、低くはない重心高と、軽くはない車重のネガティブをオフセットしてくれる。またかなり質感に乏しいものの、ステアリングには適度に重さが増し、スロットルレスポンスも向上。トランスミッションの変速もより積極的なものになる。しかし、シフトパドルを用いて自らのテンポで変速した方が、思い通りに走れるだろう。

今回の試乗区間にはかなりのウェットコンディションも含まれていたのだが、ターンイン時の鋭さには驚かされた。想像しているより遥かに高いスピードでコーナーへ侵入しても許容してくれる。そこからエイペックスを縫って出口をめがけて加速するさなかでも、アクセルを踏み込んでパワーを与えていくと、リアタイヤがクルマの向きを変えていくような挙動を感じ取れる。

しかし、過信は禁物。過度なスピードでコーナリングすれば、アンダーステアは抑えることができない。リアタイヤが努力していても、フロントタイヤは先に諦めてしまうようだ。そうなると、スタビリティコントロールがかなり手荒に介入してくる。ソフトウエアが見直しされているにも関わらず、コンフォート・モードを選択していても容赦ない。大きく重いクルマを、ねじ伏せているということを実感する。

メルセデス-AMGだけあって、すべての電子制御を切ることもできる。しかし2tの金属の塊を、セーフティネットなく路上に解き放つことは、冷や汗の連続になるだけだ。ドライバーの意のままに操る楽しさというより、瞬間瞬間の荒々しさを楽しむタイプ。大地を排他的に駆け抜けるという点では群を抜いているが、じっくり味わうようなドライビングを楽しめるクルマではない。

 
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