4ℓV8の孤高の魅力 メルセデス-AMG GLC 63Sクーペ フェイスリフト版に試乗

2019.06.26

EVのような低回転域からの大トルク

それでもエンジンが発する魅力は大きい。V8ツインターボのパワーは凄まじく、0-100km/h加速を3.8秒でこなすとメルセデス-AMGは公表しているが、偽りはないだろう。即時的に発生する強大なパワーに、思わず虜になってしまう。コーナーの出口から、有り余るトルクを生かして弾かれるように加速する体験は、笑顔にならずにはいられない。

職人によって丁寧に組み上げられるツインターボユニットで、エグゾーストマニフォールドがVバンクの内側にレイアウトされたホットVと呼べれるレイアウトも以前のまま。63Sの最高出力は510ps、最大トルクは1750rpmという低回転域から怒涛の76.3kg-mを生み出す。さらにアダプティブ・エンジンマウントも搭載し、スポーティなドライビングモード選択時には、さらにステアリング制度を高める効果があるという。

低回転域から発生する分厚いトルクは、まるでEVのよう。ボンネットの下に巨大なモーターが搭載されているのではと、疑ってしまうが、サウンドが現実を常に突きつける。試乗車に搭載されていた、オプションのパフォーマンス・エグゾーストはボタンひとつでバイパスバルブをリリースできる。加速時の音響の高まりや、アクセルオフ時の雷鳴のような唸りや破裂音など、内燃機関だけのオーケストラに聞き惚れる。

クルマを使っての旅行には適したサウンドでもないし、今どき賢い振る舞いでもない。とはいえ、V8エンジンをレッドゾーンめがけて回す楽しさは、一度味わってしまうと病み付きになるものではある。

そんな極上のV8とは裏腹に、9速ATは完璧とはいい難い。コンフォートモードでは、AT任せでの変速でもスムーズで素早く、不満に感じることはないはず。しかし、スポーツやスポーツ+モードを選択すると、穏やかなスロットル操作でもATの先走り感が強く、不必要なダウンシフトでギクシャク感が出てしまう。

 
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