トヨタ・スープラ vs ポルシェ・ケイマン vs BMW M2 比較 初の大勝負、見事な勝利

公開 : 2019.06.29 09:50  更新 : 2021.03.05 18:46

シフト操作が喜び 足りない活気

同じく、スープラのトルクコンバーター式オートマティックギアボックスを、M2のデュアルクラッチ式トランスミッションのように、巧みに扱うことが出来たらとも、思わずにはいられない。

シフトアップでは、スープラもクイック且つスムースな変速を見せるが、ダウンシフトでは、車両のバランスを崩しかねないほどの引っ掛かりが感じられ、M2のほぼシームレスなシフトチェンジや、ケイマンのキビキビとした6速マニュアルギアボックスを使って、見事なヒールアンドトゥーとともにダウンシフトすることに慣れたドライバーにとっては、まったく受け入れることなど出来ないだろう。

短いストロークで正確な操作が可能な、見事なケイマンの6速マニュアルでは、シフト操作そのものを楽しむことができ、例え他の2台について行くには、常に忙しくシフトチェンジをする必要があるとしても、ドライバーにとってはそれすらも喜びとなる。

初期の718ケイマンが積んでいたフラット4エンジンは、決して高い評価を受けていたわけではなかったが、強力なターボチャージャーが生み出すトルクのお陰で、効率的にパフォーマンスを発揮することに成功していたのであり、最近のアップデートに伴いガソリン・パティキュレートフィルターなどが採用されたことで、少なくとも2.0ℓエンジンからは、力強さが失われてしまったように感じられる。


38.7kg-mという最大トルクは2150rpmから発揮されるというが、今回のテスト車両では少なくとも3500rpmに達するまで、十分なトルクを感じることは出来なかった。

さらに、今回のテストコースでは、ケイマンに乗って十分な加速を得るには、ときに1度のシフトダウンでは足りず、がっしりとしたシフトノブを握って二度三度とダウンシフトを繰り返している間に、スープラとM2の2台は地平線上に見える小さな点となっていた。

このパワー不足は、極端に遅いスロットルレスポンスがさらに強調しており、スポーツやスポーツ+を選んでも足りない活気は、思わず間違ってブレーキペダルを踏んでいるのではないかと錯覚するほどだった。

4000rpmを越える辺りで、ようやくこのボクサーユニットは本来の実力を発揮し始め、7000rpmへと一直線に回転上昇を続けるが、それでも、そのスポーツエグゾーストから聞こえてくるのは、まったくつまらない平凡なサウンドでしかない。

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