ロードテスト DS 3クロスバック ★★★★★★☆☆☆☆

公開 : 2019.07.21 09:50  更新 : 2022.04.23 11:57

走り ★★★★★★★☆☆☆

3万ポンド(約450万円)近いコンパクトSUVのハイエンドユニットとなる、1.2ℓ3気筒ガソリンのトップレンジはいかなる実力の持ち主だろうか。大したことはないと思われるだろう。この価格帯のクルマで、こうしたダウンサイジングエンジンは一般的になりつつあるが、DSがそれを早い段階で開発し導入した大胆さは賞賛に値する。そうしたプランニングはたしかに評価できるが、このエンジンは評価のしようがないというものではないのも事実だ。

DS 3クロスバックの現時点では最強版である155ps/24.5kg-mのエンジンは、直線加速に関しては0-97km/hで8.8秒をマークする。目を見開くほどのパフォーマンスではなく、より大きな排気量のライバルはもっと速い。しかしこのピュアテックユニットは、決して無気力で力強さに欠けるものではない。48-113km/hの追い越し加速は、われわれが走行性能のリアルな指標として重視するものだが、8.3秒というタイムは、2016年に計測したアウディQ2の1.4ℓ・150ps仕様にコンマ1秒譲るのみだ。

少しばかり騒がしい3気筒のサウンドだが、総体的には高級感を損ねるほどではない。回転系の針が6250rpmのレッドラインに近づくにつれ、無理をして息切れしそうな感じをみせるようになるが、個性的な音質は、この価格帯ではよくある鈍く鼻声のような唸りをしばしば聞かせる4気筒よりは魅力的だ。中回転域のトルクは望み通りの力強さがあり、スロットルレスポンスはゼロ発進でも追い越し加速でも十分以上といえる。

このパワートレイン最大の弱点は、8速ATのほうだ。普通にドライブするだけなら変速はかなりスムースだが、急加速時には変速のタイミングを迷ったり、不器用にシフトアップしたりする傾向が明らかなのだ。また日常使いでは、アイドリングストップとの協調ぶりが特別素晴らしいとは言い難い印象を覚えるだろう。停止しようと減速すると、しきりにエンジンを止めたがるし、ブレーキを緩めて発進しようとした際には、再始動にややもどかしさを感じる。

テストコース

ミルブルックのヒルコースでDS 3クロスバックがみせた走りは、エンスー的とは言い難いものだったかもしれないが、十分にまとまりのいいものだった。コーナリング時のロールは公道でのそれより目立ったが、ほとんどの場所でその出方は唐突すぎたり戸惑わされたりするものではなかった。ステアリングはおおむね軽くフィールはないが、スポーツモードに切り替えれば、少なくとも自信を持って操作できる程度には手応えが増し、高速コーナリングではありがたみを感じる。

マニュアルモードにより、ギアボックスのコントロール幅は広がるのだが、公道でも直線コースでも感じた変速の遅さを完全に克服することはできない。にもかかわらず1.2ℓエンジンは、このコースのきつい上り勾配を、それなりに速く駆け上がれる力強さを発揮した。

オーバースピード気味にT2へ飛び込むと、フロントが流れてアンダーステアとなるが、コーナリング中にスロットルを戻せば容易に修正できる。

T3での明確なロールには、ときに気力を削がれるだろう。そのうえ、逆バンクの下りに入るとリアまで不安定になる。

電子制御のスタビリティシステムは、T5で車体が沈み込んだ際にいきなり介入してくる傾向があり、その後のコーナー脱出時に前進を妨げる。

発進加速


テストトラック条件:乾燥路面/気温16℃
0-402m発進加速:17.0秒(到達速度:137.1km/h)
0-1000m発進加速:30.6秒(到達速度:174.1km/h)


アウディQ2 1.4TFSI 150スポーツ(2016年)
テストトラック条件:乾燥路面/気温12℃
0-402m発進加速:16.6秒(到達速度:139.2km/h)
0-1000m発進加速:30.1秒(到達速度:174.6km/h)

制動距離


テスト条件:乾燥路面/気温16℃
97-0km/h制動時間:2.90秒


アウディQ2 1.4TFSI 150スポーツ(2016年)
テスト条件:乾燥路面/気温12℃

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