新型ダイハツ・タントに試乗 ホンダN-BOXとどっちを選ぶべき? タント優勢か

公開 : 2019.08.02 19:10

動力性能〜走行安定性まで幅広く向上

エンジンはノーマルタイプとターボの2種類がある。ノーマルタイプの場合、先代型は2500-4000rpmの実用域で駆動力が乏しかったが、新型は先代型よりも余裕を感じる。最大トルクは6.1kg-mで先代型と同じだが、発生回転数は5200rpmから頻繁に使う3600rpmに引き下げたからだ。

さらにCVT(無段変速AT)の機能も刷新して、変速可能なギア比の幅を広げた。アクセルペダルを深く踏み込んだ時には高回転域を積極的に使い、巡航時にはエンジン回転数を下げて燃費を節約できる。

実用域の駆動力に余裕を持たせながら、4000rpmを超えた領域の加速感も活発だ。車両重量が試乗した標準ボディのXで900kgに達するから、パワフルとはいえず登坂路ではパワー不足も感じるが、全高が1700mmを超えるボディを考えれば納得できる。

ターボの動力性能は、排気量が1ℓのノーマルエンジンに匹敵する。最大トルクは10.2kg-mだから、ノーマルエンジンの1.7倍だ。アクセルペダルの踏み込み量も抑えられて扱いやすいが、ノーマルエンジンが扱いやすく洗練されているためか、さほど魅力を感じない。

登坂路の多い地域のユーザーは、ノーマルエンジンとターボで登り坂の走りを比べてからエンジンを選ぶと良い。

注意したいのはノーマルエンジンとターボの価格差だ。標準ボディのXターボは、ノーマルエンジンのXに比べて9万7200円高い。装備はほぼ同等だから、この金額がターボの価格換算額になる。

一方、カスタムのターボを搭載するRSは、ノーマルエンジンのカスタムXとの価格差を8万1000円に抑えた。しかもRSではステアリングホイールとATレバーが本革巻きになり、アルミホイールが14インチから15インチに拡大される。ショックアブソーバーも摩擦の少ないタイプにするなど変更を加えたから、価格差が8万1000円でもターボの価格換算額は実質6万円程度だ。標準ボディとカスタムではターボの換算額が大きく異なる。

従って最も買い得なグレードは標準ボディのX(146万3400円)だが、上級のカスタムを選ぶなら、価格上昇を抑えたターボのRS(174万9600円)にして動力性能にも余裕を持たせたい。

走行安定性も向上した。先代型は後輪を中心とした安定確保のために、操舵に対する反応を鈍く抑え、峠道などを走ると旋回軌跡を拡大させやすかった。そこを新型はプラットフォームを刷新して安定性を底上げしている。曲がりにくさを抑え、なおかつ後輪も良く踏ん張る。全高が100mm以上低いムーヴに近い感覚で運転できた。では新型タントの実力を国内販売1位のN-BOXと比べよう。

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