ピスタのアジリティとGTBの快適性 フェラーリF8トリビュート 初試乗 3.9L V8ターボ

公開 : 2019.08.17 09:50  更新 : 2021.08.05 08:12

フェラーリ製の最新ミドシップ・スーパーカーに、世界で初めて試乗する機会を得たAUTOCAR。マラネロの一般道での超ファーストインプレッションです。

ピスタのアジリティとGTBの快適性

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

「このクルマのアイデアは、ピスタのアジリティとGTBの快適性をかけ合わせるというものでした」 と説明するのは、フェラーリのテストドライバー、ファブリツィオ・トスキ。488GTBの後継モデルで、フェラーリ製ミドシップ・スーパーカーの核をなすことになる、次期モデルF8トリビュートのことだ。

F8トリビュートは最新の量産フェラーリで、そのルーツは458イタリアにまで遡る。量産ミドシップに搭載されるエンジンとしては最もパワフルなV型8気筒を搭載し、3.9Lターボから生み出される最高出力は720psと、ピスタ・スペック級のハイパワー。0-100km/h加速は2.9秒で、最高速度は339km/hとなる。

フェラーリF8トリビュート・プロトタイプ
フェラーリF8トリビュート・プロトタイプ

今月末前までには運転する機会が得られる予定になっているが、今回は13年間フェラーリでテストドライバーを務めているトスキの助手席から、マラネロ周辺の丘陵地帯を走っての評価となる。F8は1年半に渡る開発とテストを経ており、リリース前の最終調整を受けているところ。

助手席から短時間ではあったが、クルマのクイックさは488ピスタと同等。サスペンションのしなやかさは向上しているようだ。マラネロ周辺の道は比較的スピードを出しやすくカーブも多い。路面状態は英国にも似ており、ところどころ路面は剥がれ、隆起し、傷みがひどい区間が少なくない。

F8はトスキがかなりプッシュしても、ソリッドなボディコントロールで安定している。ボディを振動させることなく、シャシーは路面からの衝撃を吸収しているようだ。メカニカルグリップも非常に高く、クルマのペースを相当に速めていっても挙動が乱れることもなかった。

ドライバーが主観的に受ける特別さ

「この付近の道は凸凹が多くバンピーで、カーブも多いですが、われわれは走り込んでいる場所です。一般道で走らせるということは、ユーザー目線では非常に重要です」 スロットル・レスポンスはフェラーリ製V8エンジンに解する通りにダイレクト。F8トリビュートの車名は、エンジンをトリビュート(敬意をはらい称賛)することからきている。

F8のパフォーマンスは、フェラーリのテストコース、フィオラノのラップタイムでみると、488ピスタよりも1秒ほど遅い程度。ずっと民主化されたモデルであるのにも関わらず。「ピスタの人気も高いですが、このF8のサスペンションはより快適で、日常的に乗るという点でも適しています。長い自動車旅行でもストレスを感じる機会は少ないでしょう」 とトスキは話す。高性能なクルマは、助手席での印象も素晴らしいことが通例だが、F8もそれは同じだ。

フェラーリF8トリビュート・プロトタイプ
フェラーリF8トリビュート・プロトタイプ

トスキは印象や感覚的な部分、運転をすることの喜びも、数値的なパフォーマンス向上と同等に重要だと説明する。「ドライバーの主観的な評価も重要です。単にハイパフォーマンスを発揮できるだけでなく、そこから得られる感情や感覚もとても大切で、フェラーリとしての特別さを感じさせる必要があります。わたしたちはその重要さを理解しており、何をするべきかもわかっています」

まもなくその実態をお伝えできると思うので、期待してお待ちいただきたい。

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