レアなRRロケット3台 サンビーム・インプ/ルノー8ゴルディーニ/NSUスプリンツ 後編

2019.08.18

100字サマリー

リアエンジンの小さなレーシングペディグリー。個性の濃さでは誰にも負けないであろう、サンビーム・インプ・スポーツとルノー8ゴルディーニ、NSUスプリンツ1200TTの3台を、英国で乗り比べしました。

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

もくじ

リラックスして運転できるNSUプリンツ
サンビーム・スポーツは英国自動車史の重要モデル
リアタイヤのネガキャンと四角いボディ
RRレイアウトの悪評を覆す楽しさ
リアエンジン・ロケット3台のスペック

リラックスして運転できるNSUプリンツ

トニー・アームズの1971年式NSUプリンツ1200TTはこの中では唯一、後部座席が残っていないクルマ。ペダルはフロアヒンジで、小さなアクセルペダルは、フロントタイヤのホイールアーチにくっつくように取り付けられ、オフセット量は最小限に留めてある。穴の空いたスポークに支えられる、リブの切られたステアリングホイールと、色鮮やかな8000rpmまで目盛りの振られたレブカウンター以外、車内の雰囲気はいかにもドイツ車っぽい。

アクセルペダルはボタンのように動く。トランスミッションに切られたゲートは良好ながら、変速ストロークは長く、感触もコシがない。それに力を伝えるオーバーヘッドカムの4気筒は洗練されている。大きなレブカウンターを針が動き、6500rpmからのレッドゾーン目がけて回転数を上げても、荒々しさや息継ぎ感もなく、心地よく伸びていく。

4000rpmを超えた辺りからエンジンサウンドは密度が濃く変化し、緊張感が漂うようになり、意図した通りの穏やかな高周波音でキャビンが満たされる。火が点いたように路上を駆けることはないが、遅くも感じられない。TTは確実にスピードを乗せていく。

痛みの酷い路面でも、TTのしなやかな脚まわりのおかげで、落ち着きがなくなったり、正確なステアリングが乱されたり、ということもない。今回の3台の中では唯一純正状態を保つNSUは、抑制はされているとはいえ、ボディロールは小さくはない。しかし、開けた郊外の道で、生き生きとした敏捷な走りをダルに感じさせてしまうこともなかった。

不思議なことにドライバーはリラックスして運転ができる。左足のフットレストやブレーキサーボもない状態だが、長距離ドライブでも楽にこなせそうな雰囲気がある。不思議な魅力を持つ、オレンジ色のサルーンだ。

 
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