ロードテスト フェラーリ488ピスタ ★★★★★★★★★☆

2019.08.18

走り ★★★★★★★★★★

ピスタのV8は、中回転域からのドッカンターボなトルクでドライバーをぶん殴るようなエンジンではない。この手のエンジンの多くとは、よく回り、サウンドも熱狂的なことばかりでなく、最新ターボさえタレ始めるような高回転域に入っても、8000rpmのレッドラインまで暴力的に引っ張る点でも違いをみせる。

そうはいっても、それほど高回転まで回す機会はあまりない。ピストンの動きはクレバーに管理され、高いギアで効果的にトルクをセーブしつつも回転がいいので、パフォーマンスの限界がないようにさえ感じられる。そのことは、スロットルペダルを踏みつけ、緩めることなくシフトを続けていくプロセスを、ほかのクルマでは味わえないほどスリリングなものとする。

テストサーキットのラップタイムは、ドライコースが1分5秒3、ウェットが1分18秒0。マクラーレン・セナに対し1秒5と0秒3のビハインドだ。
テストサーキットのラップタイムは、ドライコースが1分5秒3、ウェットが1分18秒0。マクラーレン・セナに対し1秒5と0秒3のビハインドだ。    Luc Lacey

ミシュランのカップ2Rを履いての0-97km/h加速では、最速2.77秒、平均2.8秒と、フェラーリの公称値よりコンマ1秒ほど速い。0-145km/hでは、マクラーレンの720Sとセナを置き去りにする。ゼロヨンでは、ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテを車体数台分引き離し、その後もギャップは縮まない。

しかし結局、先に挙げたマクラーレンは2台とも、もっと加速を続けられる環境があれば抜き返す。ただしセナは、240km/hを超えると空力が効きすぎて徐々にペースダウンするが。

それでもピスタは、エンジンがスペシャルな絶対的スーパーカークラスをうらやむ必要はない。このクルマは、ほとんどすべてがスペシャルだからだ。全開では実に速く、高回転まで達し、まともではないと思うことすらある。

さらにはレスポンスに優れ、従順で扱いやすく、淀みなく回り、運転しやすいが劇的ですばらしい。信じがたいかもしれないが、このクルマのトップギアでの97-177km/hは、BMW M2が4速全開で同様の加速をした場合よりコンマ5秒ほど遅いだけなのだ。

これほどのパフォーマンス、はたして公道上で楽しめるのかと疑問を抱くかもしれない。もしイエスだと答えても、瞬間的な加速くらいで、フラストレーションもたまると思うのではないだろうか。

しかしピスタのV8には、ペダルを踏んでいればほぼずっとエキサイトできるパワーとドラマティックさがある。その存在感はすばらしく圧倒的。ときとして強烈すぎるが、壮大さに欠けるところはまったくない。

 
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