ロードテスト フェラーリ488ピスタ ★★★★★★★★★☆

2019.08.18

操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆

488ピスタのハンドリングは、フェラーリらしさを最大限まで引き上げた、といった感じ。もしも現代の跳ね馬が総じて落ち着きなく、鋭く、過敏で、ダイレクトなハンドリングの持ち主だとしたら、ピスタはそれらすべての実現度と容認度の限界を探っているようなクルマである。

ステアリングはロック・トゥ・ロックが2回転を切るだけに、感覚的にはまるで、どんな時でもつま先立ちで走っているよう。手応えはそのクイックさをかろうじて使いこなせる程度の重さしかなく、接地面からのフィールは乏しい。

488ピスタのパワーとハンドリングは、公道では分別の限界ギリギリといったところだが、ナーバスさより比類なきアジリティを感じられる。
488ピスタのパワーとハンドリングは、公道では分別の限界ギリギリといったところだが、ナーバスさより比類なきアジリティを感じられる。    Luc Lacey

最近のポルシェやマクラーレンに見られるほどブリリアントなものではないが、極端な荷重を受けてもその手応えはきわめて一貫しており、そのクイックさにすぐ慣れさせてくれる。

また、乗り味は硬く上下動は多いが、公道上ではおおむねナーバスさを感じさせないクルマだ。その状況が変化の兆しを見せはじめるのは、不整路面にさしかかったときだけ。ややバンプステアが発生し、ブレーキングしながらバンプを越えるとわずかにステアリングをとられ、かまぼこ型に沿った箇所や路面のペイントを横切る際にパワーをかけすぎると微かに横滑りする。

公道で飛ばしたり、サーキットでペースを上げたりすると、このシャシーのアジリティや切れ味、ハンドリングのアジャスト性はとてつもないというほかない。458スペチアーレでは味わえなかったほど、パワーがとんでもなく有り余っている感じがする。

それが最高潮に達するのは、CTオフモードで思いっきり飛ばしたときだが、それでも懐は深い。スライド量は多いが、気持ちいいまでに精度が高くコントロールしやすいパワーオーバーステアを十分に堪能させてくれる。

ラップタイム狙いでの全開走行では、ハンドリングがやや気まぐれにすぎるところが見えてくる。完璧なドリフトをみせる傾向は多少影を潜め、高速スタビリティも欲しくなるのだ。

このクルマには、マクラーレン・セナのようなオーラは感じられない。あちらなら、グリップやスピードの限界に達することなく一日中ラップを重ねられるはずだ。

488ピスタはサーキット志向のマシンだが、ドライバーの勇敢さや、首や太ももの筋力を試す類のものではない。感覚に訴えかけ、スキルがレベルアップしたように感じさせ、ファンな要素を引き上げたクルマである。言い換えるなら、実に素晴らしいということだ。

 
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