新開発の直6ユニット搭載 ランドローバー・レンジローバー・スポーツHSTに試乗

公開 : 2019.08.27 09:50

サイズダウンしたい22インチのホイール

今回の試乗は短時間だったため、HSTの日常的な利用環境での燃費を導くまでには至らなかったが、都市部と郊外とを混ぜ合わせて走行した条件なら8.8km/Lは達成できそうだ。エンジンのポテンシャルを試そうとすると、6.5km/Lくらいにまで著しく落ちてしまう。SDV6ディーゼル・エンジン並みの燃費を期待すると肩透かしとなるが、マイルドハイブリッド・システムも搭載しており、上手に運転すれば燃費は伸ばせる。

ハンドリング面は、現行のL494型世代のレンジローバー・スポーツから基本的に不変。ラグジュアリーSUVの中で見れば、かなり優れているといえる。これだけの重量を持つ大柄の体格のクルマが、郊外のカーブが連続する道でも、機敏に正確性を保って走らせることができることは驚きに値するだろう。

ランドローバー・レンジローバー・スポーツHST
ランドローバー・レンジローバー・スポーツHST

ボディコントロール性も高く、サスペンションは長い波長で波打つような路面でも巧みにいなしてくれる。レンジローバー・スポーツは、このカテゴリーで運転にこだわりのあるドライバーなら真っ先に選ぶべきモデルだと改めて実感する。2013年から変わらず、ややリモート感はつきまとうが、高級SUVとして煮詰められた完成度を備えている。

試乗車で指摘する点としては、22インチという大きなホイールを履いていることで、脚さばきで苦労していたということ。高速域ではしなやかな乗り心地だが、ボディの落ち着きがなくなり、鋭い入力が車内に侵入してくる場面もあった。もちろん小径のホイールも選択は可能だ。

V6ディーゼルとV8ガソリンの良いとこ取り

ランドローバーが2017年に施したフェイスリフトにより、インテリアの質感は大幅に向上している。古びた感じは殆どなくなったと思う。JLR製のタッチプロデュオ・インフォテインメント・システムは、滑らかなグラフィックと馴染みやすく優れた操作性が自慢。インテリアに用いられている素材も上質で、車内は視覚的にも触覚的にも、訴求力は高い。

アピアランスは、わたしの好みとしては余り派手なものは避けたいところ。インテリアのツートンカラーのレーザーインテリアはオプションだが、カーボン素材のエクステリアトリムや、22インチの大径ホイールは少し盛り過ぎに思う。基本的には極めて洗練されているだけに、ホイールサイズを適正に選び低速域での乗り心地を向上させることで、より良い仕上がりになるだろう。

ランドローバー・レンジローバー・スポーツHST
ランドローバー・レンジローバー・スポーツHST

新しいエンジンはレンジローバー・スポーツとの相性も良く、V6ディーゼルエンジンに匹敵する最大トルクと安楽なドライバビリティを提供しつつ、V8ガソリンエンジンにも劣らない洗練性と豊かさを味わわせてくれる。

多くのSUVユーザーにとってはSDV6ディーゼル・エンジンの方が魅力的かもしれないが、主に都市部での利用が中心となるユーザーにとっては、直列6気筒エンジンも魅力的な選択肢となることは間違いない。また、ランドローバーやジャガーの他のモデルにとっても、この新しいエンジンが追加されることで、ストロングポイントになり得ることも充分に予見できるのだった。

ランドローバー・レンジローバー・スポーツHSTのスペック

価格:8万1250ポンド(1056万円)
全長:4879mm
全幅:1990mm
全高:1803mm
最高速度:225km/h
0-100km/h加速:6.2秒
燃費:8.8−9.7km/L
CO2排出量:−
乾燥重量:2210kg
パワートレイン:直列6気筒2996ccターボ+電動スーパーチャージャー+48Vマイルドハイブリッド
使用燃料:ガソリン
最高出力:401ps/5500rpm
最大トルク:56.0kg-m/2000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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