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メルセデス・ベンツSLRマクラーレン スーパーカーを夢見たグランドツアラー 後編

2019.09.29

100字サマリー

ミレニアム時代にメルセデス・ベンツとマクラーレンとのコラボレーションによって生まれた、メルセデス・ベンツSLRマクラーレン。現役時代は賛否両論あったクルマですが、誕生から16年がたった今、その孤高のアイデンティティを振り返ります。

もくじ

双子のようなクーペとロードスター
信じられない加速力と陶酔させるサウンド
比類のない個性。選ぶならロードスター
番外編:ゴードン・マレーが思うSLR
メルセデス・ベンツSLRマクラーレン(2003年〜2010年)のスペック

双子のようなクーペとロードスター

貴重なメルセデス・ベンツSLRマクラーレンだが、初めに乗ったのはシルバーのクーペ。ロンドンのエキゾチックカー販売店「DDクラシック」が保有するクルマだ。試乗メモも取りやすい。乗ってすぐに、メルセデス・ベンツSLRマクラーレン・ロードスターとの共通性の高さに気付いた。双子の兄弟のようだ。

同時に生まれたわけではないが、両車ともに誕生したのは同じ工場。ロードスターの生産は、クーペの人気に陰りが出始めた2007年に始まった。ウエストラインより下はすべて、サッシュレス・ドアのヒンジがAピラーに付くところから、オプションではあったが、19インチのタービン・スタイルのアルミホイールまで同じ。

メルセデス・ベンツSLRマクラーレン
メルセデス・ベンツSLRマクラーレン

唯一アピアランスで異なるのは、アンロックのみ手動で行う必要があるが、電動でリアシェルフに折りたたまれるソフトトップくらい。すべて電動にするよりも、人間がワンアクションする手間を加えるだけで6kgの軽量化につながるという。

祖先の300SLとは異なり、クーペであってもロードスターであっても、エレガントに乗り降りするのが難しい。パリス・ヒルトンは若く痩せているから問題ないかもしれないが、わたしにとってはひと仕事。

色々試して、初めにお尻から乗り込む方法にたどり着いた。後はヤドカリのように、高いサイドシルの上から体を後ろに押し込んでいくのがスムーズだ。一度乗ってしまえば、キャビンはとても居心地が良い。

大きなボディの見かけによらず、車内は少し狭くも感じられるが、現代のSLを運転しているドライバーなら違和感なく寛げるだろう。彫りの深いカーボンファイバー製のシートながら、座り心地は快適。まるで船の舳先のように長く伸びるボンネットを軽く見下ろせる視界があり、ドライビングポジションも良好だ。

 
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