個性的な都会派コンパクトSUV 長期テスト スズキ・イグニス(最終回)

公開 : 2019.10.05 10:50  更新 : 2022.08.08 07:53

マイルド・ハイブリッドの燃費に関心

イグニスで気に入っている点のひとつは、優れたSHVSと呼ばれる電圧48Vによるマイルド・ハイブリッド。アクセルを踏み込むと、リチウムイオン・バッテリーから電気が供給され、ベルトでエンジンとつながったスターター・ジェネレーターが1.2Lエンジンに1.7psと4.9kg-mを加算してくれる。

スタート・ストップの多い都市部だけでなく、高速道路でも効果的なことがわかった。イグニスの平均燃費は、毎日の往復225km/hにも達する通勤を含めて、18.0km/Lを超えており、驚かされた。前輪駆動のイグニスが、AUTOCARの姉妹誌での実燃費競争で、最も良好なクルマとして選ばれたこともうなずける。

スズキ・イグニス1.2デュアルジェット SHVS オールグリップ SZ5
スズキ・イグニス1.2デュアルジェット SHVS オールグリップ SZ5

実際、以前乗っていたフォード・クーガ2.0 TDCi 150と比較しても、通勤にかかるコストは悪くなかった。スズキ・イグニスを選ぶなら、マイルド・ハイブリッドはお勧めできるチョイスだ。低グレードでは選べないので、ご注意を。

パワーが細く空力性能的に良くないボディ形状だから、高速道路での走行は避けたいというわけでもない。セアト・イビザほど優れた走りはしないものの、高速道路の制限速度に到達すれば、3500rpm前後の回転数を保って巡航走行も問題ない。

追い越しも5速マニュアルを駆使すれば不可能ではない。その前に右側の追い越し車線に流れの速いクルマがいないか、充分な確認は不可欠。中学校の体育の試験のような、少し緊張した気分が味わえる。

英国編集部での評価は高い

高速走行時は風切り音もうるさいが、インフォテイメント・システムを楽しめば良い。英国の場合、すべてのグレードで7.0インチのインフォテイメント・タッチモニターが付き、ナビやデジタルラジオ、アップル・カープレイとアンドロイド・オートが利用可能。パイオニア製のユニットは、4本のスピーカーを元気に鳴らしてくれる。同価格帯のクルマで比較しても、音質面では優れているようだ。

試乗車は4輪駆動車で、パーマネントタイプでも、センターデフロックも付いていないが、泥だらけの庭や湿った草地でも充分なトラクションが得られる。フロントタイヤのスリップを検知しリアタイヤへトルクを分配する、ビスカス・カップリングを装備する。

スズキ・イグニス1.2デュアルジェット SHVS オールグリップ SZ5
スズキ・イグニス1.2デュアルジェット SHVS オールグリップ SZ5

さらにヒルホールド・コントロールと、ヒルディセント・コントロールで、オフロードでも自身を持って走らせられる。タフな走破性を持つスズキ・ジムニーとは程遠いとは思うが、同僚は楽しくオフロードを走ってくれていた。

イグニスの場合、ショールームで選べるオプションを付けたとしても、わたしの好みでは小さなSUVの方が魅力的に思えてしまうことも確か。ビターラ(エスクード)やジムニーなどが存在するのだ。そのかわり個性的なアピアランスを持っているのがイグニス。知人の多くが運転してみたいと思っていたようだ。

面白いことに、英国編集部のマット・プライヤーは、昨年のお気に入りのクルマとして、ランボルギーニウラカンよりもスズキ・イグニスを上位に選んでいる。個人的に1万4000ポンド(182万円)を払うことはないが、特別なクルマだとは思う。何よりも個性的で、街にあふれるその他のコンパクトカーにはない魅力を持っている。

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