マツダ2(デミオ) 新旧を比較試乗 新型の価格/内装/走りを評価 ガソリンとディーゼル

公開 : 2019.10.13 20:10  更新 : 2021.12.28 00:16

明確に変わった乗り心地

試乗しても最も印象的だったのは乗り心地の改善である。

マツダ車のフットワークの弱点と言えばパッチ路などの荒れた路面での小さな突き上げに衝撃感が強く、サスの硬柔よりも硬さを意識させるものだった。

マツダ2 15S Lパッケージ(2WD)
マツダ2 15S Lパッケージ(2WD)

好意的に捉えればフレームやサスの強靱さとも解釈できるが、それは古びたスポーツ感覚でもあった。

しかし、新型は当たりが随分と柔らかくなっている。うねり路や加減速、コーナリング時同様のしなやかなストローク感が低速の荒れた路面でも実感できる。あるいは車軸まわりの動きがしなやかになった感じ。いずれにしても穏やかに過ごせる時間が大幅に増加した。

操舵追従のいいラインコントロール性や直進の収まりのよさも相変わらず。余談だが、スポーティな演出を抑えているせいか、高速走行はマツダ3よりも気楽に扱える。

レーンキープアシストについて

高速ツーリング性能向上に大きく寄与するLKA(マツダ名称LAS)の採用も見所。

一応、車両設定のセッティングからオン/オフと、稼働時には逸脱復帰からライントレースで利き具合をセットできるのだが、基本制御が逸脱防止のためライントレースを選択しても車線と進行方向を一致させる制御は行わない。システム任せで走らせると車線内蛇行をしてしまう。

マツダ2 15S Lパッケージ(2WD)
マツダ2 15S Lパッケージ(2WD)

それを嫌ってか試乗車はオフ設定となっていた。ちなみに操舵支援はスイッチによるオン/オフも可能だが、この場合エンジンを再始動させるとオンに自動復帰する。

ライントレース制御の出来は今ひとつだが、それでもLKAの採用は高速巡航の安心感を大きく高める。試乗車が初期設定をオフにしているのはちょっと解せない。

もちろん、ユーザーは初期設定オンが基本。違和感を感じる状況ならスイッチでオフが推奨!

ACC 全車速対応に

今ひとつなのは全車速ACCも同様、全車速型だが、EPSを採用していないため停止保持がごく短時間。停車維持する場合はフットブレーキを踏む必要がある。

Nボックスなどは軽乗用にも拘わらずEPB(電動パーキングブレーキ)を採用しACCでの停止保持を行っていることを考えるとマツダ2にも同機能が望まれる。

マツダ2 15S Lパッケージ(2WD)のインパネ。
マツダ2 15S Lパッケージ(2WD)のインパネ。

内装のグレードアップと同じくらい力を入れて欲しいのだが、どうも運転支援の進化には消極的なようだ。

ガソリン車 立ち上がりが〇

パワートレインはこれまでディーゼル車のみの設定だったエンブレ回生充電システムのi-ELOOPをガソリン車にも展開したものの、構造やスペックは従来車を踏襲している。

しかし、制御特性に変更が加えられたようで、ガソリン車を新旧で乗り比べてみると、新型のほうが踏み込み直後の加速立ち上がりがいい。時間的には僅かな差だが、従来車は一息ついて大きく立ち上がる。この遅れを取り戻すために無意識に僅かながら深く踏み込んでしまう。

トルクが増したようにすら感じるガソリン車。
トルクが増したようにすら感じるガソリン車。

新型では加速に移行した瞬間の力強さが無意識の踏み込み量を抑え、ペダルコントロールも穏やかになる。遅れ少なく穏やかな加減速は余力感を高め、トルクが増加したようにさえ思えた。

軽乗用を除けば、巡航回転数を2000rpmくらいに設定した変速制御は現代の乗用車では常識。マツダ2もその通りなのだが、加速に移行した時のダウンシフト・タイミングは早めである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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