マツダCX-30日本試乗 新型SUV、ガソリン/ディーゼルを比較 内装・価格の評価は?

公開 : 2019.11.02 16:16  更新 : 2021.12.28 00:17

先進支援機能は?

良質なスポーツ志向のSUVの走りだが、運転支援機能の核をなすACCとLKAが今ひとつ。

これもマツダ3に準じた設定なのだが、ACCは前走車に追い付いた時やいなくなった時の加減速制御が唐突。全車速型ながら制御は一世代古いタイプを思わせる粗さがある。

定員乗車でもグローバルサイズのベビーカーと荷物が積める荷室。
定員乗車でもグローバルサイズのベビーカーと荷物が積める荷室。

LKAは走行ライン制御機能が約60km/h以下に限定され、それ以上では支援操舵を行うものの車線逸脱予防に限定され、支援操舵の制御精度も低め。

CX-30が得意とする高速長距離用途の要となる運転支援機能だけに、画竜点睛を欠いたようで残念である。

「買い」か?

カタログを開くと「美しく走る。」の一文が目に飛び込んでくる。CX-30のコスパを図る上で「魂動デザイン」と「人馬一体」への共感は極めて重要である。

実用面でのCX-3からの進歩は後席居住性だけでなく、最低地上高を15mm増加させ4WDに悪路対応制御も加えるなどSUVとしての資質も向上させている。

最上級グレード、Lパッケージのインパネ。
最上級グレード、Lパッケージのインパネ。

ならばSUVのメインステージとなるファミリー&レジャー用途向け、とはならないのである。ちなみに同予算ならSUVの基準器ともいえるトヨタRAV4の2L車が絡むし、少し頑張ればCX-5にも手が届く。

レジャー用途向けSUVならCX-30を超えるコスパのモデルを探すのは容易い。だが、SUVを思わせない流麗なスタイルと都市部の用途にも手頃なサイズ、ディーゼルのゆとりある走りやスポーティカーを思わせるフットワーク等々。これに惚れてしまえば替えが利かない、と思わせるだけの魅力を備えている。

ただし、そう考えるなら「マツダ3でもいい!?」とも思えてしまう。

フェンダーやサイドシルまわりをSUVらしく仕立てているが、外観はマツダ3のステーションワゴンバリエーションにも見えるし、デザインと走りの志向も近似である。

ワゴンからSUVへのシフトを強める市場動向にも当てはまる。つまりCX-30はマツダ3から発展したプライベートタイムに重きを置いた大人のワゴン的コンパクトSUV、と捉えるのが一番しっくりくる。

SUVの本流ではなくても、多様化するSUVの中でもCX-30は強い存在感を放つ。趣味嗜好の共感が大前提ではあるが、「マツダらしさ」をモノサシにすればコスパも上々である。

マツダCX-30スペック

マツダCX-30 20S Lパッケージ(2WD)

価格:279万4000円
全長×全幅×全高:4395×1795×1540mm
ホイールベース:2655mm
燃費(WLTCモード):15.4km/L
車両重量:1400kg
エンジン:1997cc直4
使用燃料:ガソリン
最高出力:156ps/6000rpm
最大トルク:20.3kg-m/4000rpm
ギアボックス:6速オートマティック

マツダCX-30 XD Lパッケージ(4WD)

価格:330万5500円
全長×全幅×全高:4395×1795×1540mm
ホイールベース:2655mm
燃費(WLTCモード):18.4km/L
車両重量:1530kg
エンジン:1756cc直4ディーゼルターボ
使用燃料:軽油
最高出力:116ps/4000rpm
最大トルク:27.5kg-m/1600-2600rpm
ギアボックス:6速オートマティック

マツダCX-30 XD Lパッケージ(4WD)
マツダCX-30 XD Lパッケージ(4WD)

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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