ダイハツ・ロッキー新型/トヨタ・ライズに試乗 新型CVT「D-CVT」が好印象 日常〜レジャーをカバー

公開 : 2019.11.25 10:50  更新 : 2021.10.11 13:51

ダイハツ・ロッキー新型の試乗記です。CVT「D-CVT」のおかげで、大人4名でもゆとりを感じます。小さいサイズが日常で光るのはもちろん、レジャー用途前提のSUVらしい使い方もできお買い得感があります。

厳密には「初代」の直接後継にあらず

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)

初代の販売終了から22年の時を経て誕生した2代目……。なのだが、初代の血を感じさせるのはコンパクトな車体サイズくらいのもので、実態はまったく別系統である。

初代は今でいうならハードクロカン志向。その後に登場したテリオスやビーゴはモノコック式の車体を採用した分だけクロスオーバー系のように思えるが、縦置きエンジンレイアウト(2WDはFR)にリア5リンク式リジッドアクスルの採用などオフロード対応をした設計。

ダイハツ・ロッキー
ダイハツ・ロッキー

振り返って見れば、これまでのダイハツは国内市場向けにアウトレジャー用途に適化した乗用車型SUVを開発していない。つまり、新型ロッキーはダイハツ初のファミリー&レジャー向けクロスオーバー型SUVなのである。

もっとも、そんな昔話を拡げるまでもなく、その外観がコンセプトを語っている。東京モーターショーでその姿を見た時の印象は「15%縮小のトヨタRAV4」である。

内外装のデザインテイストだけでなく、色々見ていくほどにアウトドアレジャー用途を前提にした走行性能やユーティリティの考え方が似ている。

もちろん、ロッキーはコンパクトサイズを活かした日常用途、RAV4はクラス上の余裕と悪路対応力の高いメカでレジャー用途と言う具合に軸脚が多少異なるが、実践的な設計が両車に「同じ臭い」を感じさせるのだ。

クロスオーバー系では上位の悪路対応力

ロッキーの概要だが、全長は軽乗用を除いたSUVでは最小クラスの4m。2525mmのホイールベースで最低地上高は185mm。

デパーチャアングルはもちろん、前述のRAV4よりアプローチアングルも大きい。4WD車のリアサスにも伸びストロークの制限で厳しいトーションビーム(ド・ディオン)式を採用するが、ハードクロカン用途を対象としなければ無問題。

トヨタ・ライズ。ロッキーとはフロントマスク等の一部デザインやグレード別装備展開、コネクティッドサービス等が異なる。
トヨタ・ライズ。ロッキーとはフロントマスク等の一部デザインやグレード別装備展開、コネクティッドサービス等が異なる。

電子制御カップリングを用いた4WDシステムとシャシー諸元からすればクロスオーバー系ではトップクラスの悪路対応力と考えられる。

なお、開発と生産はダイハツが担うが、トヨタブランドの姉妹車としてライズが設定される。フロントマスク等の一部デザインやグレード別装備展開、コネクティッドサービス等が異なっているが、実質的には同じクルマである。

スペック面で特筆されるのは車両重量

プラットフォームはタントから採用されたDNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)。軽乗用からA/Bセグまでカバーするのでロッキーは上限設定。

(TN)GA-Bプラットフォームを採用し来年登場するヤリス(ヴィッツ後継)と適応車格の交差域になるが、DNGAプラットフォームは経済性と実用性を重視し、設計の方向性が異なっている。

ロッキー/ライズのプラットフォームはタントから採用されたDNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)。
ロッキー/ライズのプラットフォームはタントから採用されたDNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)。

ロッキーのスペック面で特筆されるのは車重だ。最も重い仕様でも1050kg。最軽量仕様は970kgである。搭載エンジンはトール等にも採用されている1L 3気筒のターボ仕様。最大トルクは14.3kg-m/2400-4000rpm。1tの車重にNAなら1.5L超級相応のトルクである。

ミッションはタントから採用されたD-CVT。大まかな分類では副変速機付きCVTとなるが、遊星ギアを用いたスプリットギアにより低速と高速を切り換えと同時にCVTの変速方向を反転させるのがミソ。

狙いはベルト曲率が小さくCVTの効率が低下する領域を使わずに変速比幅を拡大させること。つまり、動力性能と燃費の両立点の向上だが、一般的な副変速機と異なりシームレスな変速を行える。遊星ギアの振る舞いはトヨタのTHSにも似ている。

記事に関わった人々

  • 前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。

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