【軸は4輪駆動の機能性】スバル・フォレスター eボクサー英国試乗 マイルドHV

公開 : 2019.12.13 09:50

マイルドハイブリッドとなるeボクサーを搭載したスバル・フォレスター。目立った燃費向上は得られずとも、スバルらしい路面を選ばない走りは健在。英国編集部では、生活四駆としての実力を評価しています。

マイルドハイブリッドを搭載した5代目

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
日本では2018年にモデルチェンジとなった、5代目スバルフォレスターが英国にも上陸した。ガソリンエンジン版のハイブリッドとしては、初めてのスバルだ。

2019年の初めに一度プロトタイプを試乗しているが、今回は右ハンドル車。マイルドハイブリッドがどの程度の恩恵をもたらすのか、実世界で確認してみたい。欧州ではファミリー層向けの4輪駆動SUVといえば、ディーゼルがデフォルトだった。その代替案になる実力は備えているだろうか。

スバル・フォレスター 2.0i eボクサー・プレミアム・リニアトロニック
スバル・フォレスター 2.0i eボクサー・プレミアム・リニアトロニック

自動車の電動化を進める動きは、政治課題としてかなり高いところにある。ほぼ揺るがない、既定路線だ。

英国ではWLTP値での二酸化炭素排出量に応じた自動車税制へとシフトするため、来年度からかなり大きく課税率が変わってくる。社用車もハイブリッドへ乗り換える動きは加速するだろう。

このタイミングで英国導入となる、マイルドハイブリッドを搭載したスバル・フォレスター。少し遅かったように思う。ハイブリッドとしても控え目な内容だし、すでにハイブリッドSUVのライバルが英国でもいくつかリリースされている。

加えてeボクサーは、経済面でさほど大きな恩恵を与えてくれるシステムでもないようだ。充電用プラグをつなぐ手間はないとはいえ、トヨタレクサスのハイブリッドモデルへ与える影響は小さい。

ハイブリッド化による恩恵は限定的

フォレスター eボクサーが電気の力だけで走れる距離は極めて限定的。二酸化炭素の排出量は、評価の甘いNEDC値で154g/kmもあるため、来年の4月から適用される税金に対しての軽減率も小さい。スバルはまだ公表していないが、厳しいWLTP値なら二酸化炭素の排出量は増えるはず。

これを補うのが、スバルならではのオフロード性能。最低地上高は220mmもあり、しっかりとしたドライブシャフトを持つ4輪駆動。

スバル・フォレスター 2.0i eボクサー・プレミアム・リニアトロニック
スバル・フォレスター 2.0i eボクサー・プレミアム・リニアトロニック

牽引重量は1800kgまで対応し、サスペンションにはセルフレベリング機能も付く。これらのメカニズムは燃費の面では不利なものの、一部のクロスオーバーには近づけない領域だ。

フォレスターは従来から個性的なモデルだったが、モデルチェンジで一回り大きくなった。全長は伸ばされ、車内空間はライバルに負けない広さを確保する。

一方でライバルと比較すると車高は低く、着座位置も低い。SUVらしく車内によじ登るというより、ドアを開けて身体を横に移動して、普通に腰掛けるように乗れる。

インテリアの質感や装備は、スバルとして知覚品質を向上させようという努力が伺える。インテリアのパネル類は厚みを増し、上品なタッチのスイッチ類に、シートやドアパネルにはレザーも用いられている。

一方で素材やテクスチャの統一感では一歩及ばない印象。本当の高級感を感じ取ることは難しい。

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