【電動ラグジュアリーSUV対決】メルセデスEQC vs テスラ・モデルX vs ジャガーIペイス vs アウディeトロン 前編

公開 : 2019.12.14 10:50  更新 : 2021.04.27 07:06

ドライバーとの繋がり 全員一致

このクルマのステアリングを握るのはつねに素晴らしい体験だ。EQCよりも軽快で引き締まったハンドリングに加え、さらにダイレクトで機敏なこのクルマには、見事なフィールと、素晴らしい重みを感じさせるステアリングが備わっている。

さらに、22インチとは信じられないほど見事なクッション性能を発揮するタイヤを履いたこのクルマの乗り心地は驚くほど見事なものであり、ロードノイズもまったく気にならない。

Iペイスは運転好きのためのモデルでありEQCが続く。
Iペイスは運転好きのためのモデルでありEQCが続く。

パフォーマンスも4台のなかではトップクラスだ。郊外を走り回るようなペースであれば、トルクに溢れたEQCのほうがよりキビキビとした加速を味わえるかも知れないが、このジャガーは低速からでも十分な速さを感じさせる。

郊外に広がるカントリーロードであれば、それぞれのドライビング性能を公平に評価できるとともに、走行写真の撮影場所にもこと欠かないが、ここではアウディeトロンに対する個人的な懸念が裏付けられることとなった。

このクルマはEQCよりもやや軽量であるにもかかわらず、よりソフトなセッティングのエアサスペンションと、ダイナミクス性能よりも快適性を優先したステアリングのお陰で、まるでより重く、大きなモデルのように感じさせる。

確かにeトロンは見事な衝撃吸収性能で荒れた路面状況を遮断し、ドライバーをリラックスさせることには成功しているが、今回の参加者全員が同意しているとおり、EQCやIペイスと比べこのクルマにはドライバーとの繋がりが足りない。

さらに、毎日ステアリングを握るとしたらどのクルマを選ぶかを質問したところ、躊躇することなく全員がジャガーを選んでいる。

午後3時32分、スウィンドン近郊、ウエストバウンド

4台の高級EVによる一団は粛々と歩みを進めているが、まだ160kmも走行していないのだからそれも当然だろう。

出発から数時間が経過し、写真撮影と昼食を終え西へと向かうわれわれは、この旅で初めての高速道路走行を経てブリストルの真北、この日の最終目的地であるアルヴェストンハウスホテルへと到着する予定だ。

8万5000ポンド(1117万円)ほどのプライスタグを掲げたモデルとしては、テスラのキャビンには過大なロードノイズが響き渡る。
8万5000ポンド(1117万円)ほどのプライスタグを掲げたモデルとしては、テスラのキャビンには過大なロードノイズが響き渡る。

アウディのあと、この旅で初めてテスラのステアリングを握って数kmを走行したが、この2台ほど性格の異なるEVも珍しいだろう。

今回集まった4台のなかではモデルXは至極真っ当な選択肢に思える。もっとも大容量のバッテリーを積んで、もっとも充実した急速充電ネットワークを備え、必要であれば7人ものひとびとを乗せることも可能だ。

だが、日常的にこのクルマを運転してみれば、その細かな仕上がりの多くが他の3台のレベルに達していないことが明らかとなるだろう。

確かに速いが、その乗り心地は硬く、今回のテストルートではドライバー以外のパッセンジャーにも影響するほどの落ち着きのなさを見せることとなった。

さらに、その乗り心地は単に硬いだけでなく騒々しくもあり、なんとか及第点というレベルの遮音性しか持たないキャビンには、他の3台よりも盛大なウインドノイズが響き渡る。

一般的にはテスラのキャビンも高い静粛性を誇ると言えるかも知れないが、他の3台ではほとんどウインドノイズなど聞こえてこない。さらに、他のモデルに比べるとボディパネルも薄いようで、フロントドアを閉めた時の音も高級感に欠ける。

そして、大柄なモデルにもかかわらず、その一列目と二列目シートの広さも実質的にはeトロン同等でしかない。9万ポンド(1182万円)近くを支払って、果たしてこうした仕上がりに満足できるだろうか?

決して満足は出来ないだろう。

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