ロードテスト MG ZS ★★★★★★☆☆☆☆

公開 : 2019.12.14 11:50  更新 : 2020.01.06 01:34

英国への帰還を果たしたMGが、戦略的な価格設定のEVを投入しました。キャビンは広く、装備も走りもプライスを考えれば納得のいくもの。しかし、どうにも看過できない欠点がひとつ。航続距離が絶対的に短いのです。

はじめに

自動車業界における最大の金看板といえるのが、「ハイテクなゼロエミッション車を遍く普及させること」。英国MGの販売部門を率いるダニエル・グレゴリウスは、それを推進している。

もちろん、そんな気取ったコメントは、しばしば各社の重役の口から聞かされることがある。しかし、MGとグレゴリウスには、単なる感情論ではなく、達成可能と思わせるものがある。

英国へ2009年に再上陸したMGモーターUKリミテッドは、中国の国有企業である第メーカー、SAICモーターの傘下にある。最近では、Bセグメントの3とクロスオーバーのZSを導入。いずれも、大方の予想を裏切り販売好調だ。

その要因が攻めの価格設定と優れた実用性、納得のいく装備内容。低品質のプラスティックが用いられ、競合モデルに見られるような快適装備のいくつかが欠如していても、それに目をつぶって購入しようと思わせるだけのものがあるのだ。たしかに万人向けとはいえないが、これで十分というユーザーが少なくないのもまた事実ということだろう。

普通のクルマならそれでいいのだが、EVはご存知の通り生産コストが高い。そのツケはユーザーに回ってくる。充電インフラの進まない整備とともに、高い価格はEVが普及しない要因となっている。それこそ、このZS EVの付け込みどころだ。

車両価格は2万4995ポンド(約337万円)からで、期間限定で2万1995ポンド(約297万円)からという特別オファーも用意されるこのゼロエミッションのクロスオーバーは、このクラスでもっとも買いやすい電動自動車だ。

そして、MGは大方の予想を裏切り、この分野で先駆的な試みを実行に移そうとしている。2021年までに、さらに2車種の電動パワートレインを持つ主流モデルと、電動スポーツカーを投入するのだ。英国での再出発を期そうというブランドとしては、なかなかに野心的でエキサイティングなプランだ。

それはともかく、ZS EVの航続距離はあまりに短い。ロードテストでいい点を取るには、安価なだけではなく、高いオーナー満足度を提供できなくてはならない。はたして、古豪ブランド再起の可能性を、このクルマは感じさせてくれるのだろうか。

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