【上位グレードを忘れるほど良い】ポルシェ911カレラ 試乗 385psに不満なし

公開 : 2019.12.31 10:20

ポルシェだけでなく、スポーツカーのアイコンともいえる911。カレラSほどのパワーは備えていませんが、素のカレラも引けを取らない完成度を得ているといえるでしょう。英国で評価しました。

安価なカレラに必要なオプションを選ぶ

text:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
読者が新車を購入する時、沢山並ぶオプションリストから装備するものを選ぶ時間は、楽しく感じるだろうか。フォルクスワーゲン・ゴルフの場合は楽しいひと時かもしれないが、ポルシェ911となると、かなり気を使う作業となる。

既に安くない価格に、それなりの値段のオプションを丁寧に選んでいく。いつまでも悩んでいるわけにはいかないし、ホイールも含めてオプション内容が市場ニーズに合わないと、リセールバリューにも影響したりする。

ポルシェ911カレラ
ポルシェ911カレラ

標準のカレラは8万2793ポンド(1159万円)だから、カレラSの9万3111ポンド(1303万円)と比べると英国では1万318ポンド(145万円)ほど安く手に入る。パワーは17%劣り、21インチホイールは選べないが、同じ価格でオプションは結構なものが装備できる。

そんな理由もあって、筆者は一般的な選択肢となるカレラSではなく、標準により近いカレラに惹かれてしまう。実際、今回の試乗車は、削ぎ落とされた素の911というわけでもない。

1844ポンド(26万円)のスポーツエグゾーストに1600ポンド(23万円)の14ウェイ・スポーツシートのほか、9種類のオプションが追加され、総額で8100ポンド(113万円)の上乗せとなっていた。

エントリーグレードとなるカレラは、385psを生み出す水平対向6気筒ツインターボが搭載され、最大トルクは45.8kg-m。0-100km/h加速は4.2秒で、カレラSより0.5秒遅くても、充分に速い。

トップクラスの品質はグレードを問わず

最新型の992型カレラの場合、最高速度は289km/h。カレラSは307km/hだが、どちらもサーキットですら簡単に出せる数字ではない。

標準サイズの19インチホイールを履いたカレラにも、カレラSと同様にアクティブ・ダンパーが装備されている。多くのドライバーは1145ポンド(16万円)の追加費用を払って、Sホイールを選ぶだろう。SNSでの写真映えが良いから。

ポルシェ911カレラ
ポルシェ911カレラ

ポルシェのウェブサイトを見てみると、標準のホイールも悪くないと思う。標準タイヤサイズなら、タイヤのサイドウォールが僅かに大きく、柔軟性が高い。荒れた路面であっても若干乗り心地に優れ、ロードノイズも少なくなる。

ポルシェだから、価格に関係なく、組み立て品質は間違いなくクラストップの水準。他のスポーツカーメーカーも品質の向上には力を入れているが、ポルシェはこの分野ではリーダー的な存在だ。最も安い911であっても、作り込みの良さは同じ。

エンジンを始動し充分に温まると、クルマの後ろから聞き慣れたハミングが聞こえてくる。911を発進させれば、正確で意図したとおりに美しく進み出す。

3kmほど走らせて準備運動が終わったら、アクセルを踏み込んでみる。ターボラグの殆どない、太いトルクがリニアに湧き上がることが即座にわかる。素の911でもターボ過給されることに嘆いていたが、杞憂だった。

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