【BMWらしさを求めてしまう】BMW M235i xドライブ・グランクーペに試乗

公開 : 2020.03.21 10:20

好みの分かれるようなスタイリングを得た2シリーズ・グランクーペ。4気筒ターボと前輪駆動ベースの4輪駆動で、これまでのBMWとは異なる走り味ながら、秀でた運動性能にも間違いはありません。英国の道で評価しました。

疑問符が浮かんでしまうスタイリング

text:Simon Davis(サイモン・デイビス)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
クロスオーバーの次に熱いと思われる、4ドアクーペというカテゴリー。ところが、新しいBMW M235iのスタイリングは、影響力のある人が「色っぽい」とコメントしても、多くの男性が賛同するとは思いにくい。ライバルモデルの姿を見てしまうと、なおさら。

もしかすると、10年くらい先取りのデザインなのかもしれない。筆者の場合は、スタイリッシュなメルセデス-AMG CLA35が隣に並んでしまうと、M235iの見た目には疑問符が浮かんでしまう。フロントマスクは、歯を出して怒っているビーバーにも見える。

BMW M235i xドライブ・グランクーペ(英国仕様)
BMW M235i xドライブ・グランクーペ(英国仕様)

あくまでも個人的な見解。読者の中には気にいる人も少なからずいることを期待したい。

それはさておき、新しい熱々の2シリーズ・グランクーペは新1シリーズと同様に、BMW製のFAARアーキテクチャをベースとしている。ターボで激しく過給される2.0L 4気筒エンジンは横向きに搭載。最高出力は306ps、最大トルクは45.8kg-mで、M135iと同値だ。

4輪駆動だが、ほとんどの場面では8速ATとリミテッド・スリップデフ(LSD)を介して、フロントタイヤを駆動する。路面が滑りやすい状態では、電子制御クラッチが自動的にリアタイヤへ最大50%の駆動力を伝達してくれる。

一度ポルトガルで試乗しているが、BMW Mパフォーマンス・ファミリーに加わった2シリーズ・グランクーペは、かなり速い。今回は英国オックスフォードシャーの、狭く管理の悪い一般道。Mスポーツ・サスペンションとダンパーの処理能力を確かめる番となる。

ステアリングや乗り心地はCLA 35以上

結果は悪くなかった。だが、フロントノーズやステアリングに付く白と青のエンブレムを見ずに走り出せば、BMW以外の300ps前後で4輪駆動のホットハッチと、違いを感じにくい。

おそらく、6気筒から4気筒へとシリンダー数を減らし、前輪駆動ベースの4輪駆動システムへと変化した結果だろう。インテリアはスマートでとても訴求力があるのだが。

BMW M235i xドライブ・グランクーペ(英国仕様)
BMW M235i xドライブ・グランクーペ(英国仕様)

それがBMWの決めた結果。本気を出して運転すれば、M235iはドライバーの気持ちに応えてはくれる。

ドライビングモードをスポーティな設定すると、8速ATはエンジンのたくましいトルクバンドを保ちながら、効果的に変速をこなす。スロットルレスポンスはシャープで、エンジンは2000rpm付近からレブリミット向けて激しく吹け上がる。

エンジンがもたらす加速はリニアで自然。シフトアップは鋭く、腰回りに確かに結合した振動が伝わってくる。

ただし、6700rpmのレッドラインまで引っ張っても、記憶に残るようなサウンドを響かせるわけではない。パワフルには聞こえるものの、人為的な盛り上がりで、本物のエンジンサウンドらしくは感じられない。

通常のパッシブダンパーでは、乗り心地は硬め。路面が荒れていると、伝わる振動で一層硬さを実感するが、垂直方向の姿勢制御は確実。激しく揺さぶられるCLA 35と比べて、M235iの方がドライバーを厳しい衝撃から遠ざけてくれる。

ステアリングの操舵感も、メルセデスAMGより直感性で優れていると思う。手に伝わる感触は少なく、Mスポーツの肉厚なステアリングホイールは少し握りいにくい。

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