【新時代のグランドツアラー対決】ポルシェ・タイカン vs ポールスター1 vs メルセデスAMG GT 63 S 後編

公開 : 2020.04.05 07:20  更新 : 2021.02.10 17:27

英国では2035年までの内燃機関モデル販売禁止が発表されましたが、未来にロングツーリングの楽しみは残されていないのでしょうか? 今回はそんな懸念に答えを見つけるべく、ポルシェ初のEVとポールスター、そしてAMGの3台のグランドツアラーで旅に出ました。

EV最高のドライバーズカー

快適性と視認性、洗練と品質、そして程よい豊かさという意味では今回集まった3台のなかでポールスターがベストの存在であり、決して期待を上回るほどではないかも知れないが、ステアリングを握っても高級大型GTに望むパフォーマンスとハンドリング性能を十分味わわせてくれる。

そして、それこそがタイカンの備えるすべてでもあるのだ。

ポルシェではブレーキ操作によって回生発電を行っており、オフの際のペダルフィールには若干改善の余地が感じられるが、それでも見事な仕上がりであることに変わりはない。回生発電無しで300km以上の航続可能距離を確保することは難しい。
ポルシェではブレーキ操作によって回生発電を行っており、オフの際のペダルフィールには若干改善の余地が感じられるが、それでも見事な仕上がりであることに変わりはない。回生発電無しで300km以上の航続可能距離を確保することは難しい。

最初にこのクルマに乗り込んだ時には、どうやったらこれほどコンパクトに感じさせることが出来るのかと思うだろう。

極端に低くセットされたシートと低いスカットルが一見スポーティさを感じさせるが、このクルマの車重は2.3tにも達している。

だが、決してそれほどの重量があるようには感じられない。

運転してみても車重を感じさせないのは、この極端に低くセットされたシートが、2基の電気モーターへと電力を供給しているバッテリーの上ではなく、その真ん中に置かれていることが理由なのかも知れない。

まさにこれが他の誰でもないポルシェ初の電動モデルであり、考え得るEV最高のドライバーズカーを創り出すというのが彼らの目的だったのだ。

パフォーマンスとハンドリングの両面で、639psを誇るAMGを上回るには、特別な何かが必要と思われたが、それをこのタイカン・ターボSは見事にクリアしている。

信じられないかも知れないが、このクルマは驚くべき速さを備えている。

まるでミッドシップスポーツ

低速からでも想像を超える驚異的なレスポンスと力強さを発揮するこのクルマのアクセルペダルを操作するには、最初は十分すぎるほどの慎重さが求められる。

だが、いまだ揺籃期にあるこの高級EVというニッチ市場のなかで、他のモデルとは異なり、タイカンには加速やハンドリングだけでなく、見事なブレーキ性能が備わっている。

ポールスターとAMGでは幅のあるグリルがエンジンを冷却するが、タイカンは口を閉じたままだ。
ポールスターとAMGでは幅のあるグリルがエンジンを冷却するが、タイカンは口を閉じたままだ。

さらに、ポルシェが誇るGTシリーズほどではないかも知れないが、このクルマのステアリングはまごうこと無きポルシェのそれだ。

少なくとも超高速にでもならない限り、素晴らしいグリップでコーナーでもフラットな姿勢を保ちつつ、ボディの動きもタイトにコントロールしてみせる。

さらに、このクルマのコーナリングバランスとハンドリングの落ち着きは、まるで車重1500kgのミッドエンジンスポーツカーのようだ。

まさにドライバーズカーであり、本当にハードに走らせてみれば、驚くべき1台だということが分かるだろう。

次期日産GT-Rを想像させるタイカンだは、はるかに優れたハンドリングの落ち着きと予測可能なフィードバック性能、そして予想を上回る力強さを感じさせる。

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