【すでに素晴らしいホットハッチ】新型VWゴルフGTI 開発車両の助手席へ 後編

公開 : 2020.05.17 10:20

8代目ゴルフGTIの発売がおよそ半年に迫っています。英国編集部はフォルクスワーゲン社のテスコトースで、プロトタイプの助手席試乗を許されました。動的性能をまとめる技術者の運転で、現段階の仕上がりを確かめました。

メカニズムのネットワーク化

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
8代目フォルクスワーゲン・ゴルフGTIの開発でも、出発点となっているのは、多目的なMQBプラットフォーム。このクラスでは最高水準の剛性を備えた、スグレモノだ。

新しいゴルフでは、先代ではスチール製だったフロントのサブルームを、アルミニウム製としている。以前のゴルフGTIクラブスポーツS用に開発されたものに似ている。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI プロトタイプ
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI プロトタイプ

3kgの軽量化だけでなく、電動パワーステアリングや、マクファーソンストラット式のフロントサスペンションの取り付け剛性を高める役割を持つ。

ステアリングは、予想通り可変レシオが標準。ダイレクト感は増すそうで、センター付近でのレシオは14.1:1。2回転でロックトゥロックとなる。新しいソフトウェアを採用し、ステアリングレスポンスを向上。セルフセンタリングもより素早い動きを得ている。

もう1つの開発の鍵となっているのが、ビークル・ダイナミクス・マネージャー(VDM)と呼ばれるシステム。ステアリングやスロットル、トランスミッション、アダプティブダンパーなどをネットワーク化し、集中管理する。

このシステムで、4本のダンパー調整をより高速化し、姿勢制御を向上させ、乗り心地も改善。高速走行時でも明らかだったように、クルマ全体の安定感が高まっている。

アダプティブダンパーは、最新版のダイナミクス・シャシー・コントロール(DCC)の1つとして、オプション装備が可能となる。

動的性能のためにナーバスさは望まない

フォルクスワーゲンによれば、VDMへDCCを含める複数の情報を伝えることで、電子制御デフ、XDSの機能も強化されるという。「特にハードコーナリング中は、従来以上に効果的に機能します」 とシェブスダット。

「フロントタイヤ左右へ分配されるトルクは、従来以上に細かな制御が可能です。これまでにも増して、複数の要因を加味して制御されます」

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI プロトタイプ
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI プロトタイプ

ドライブ・モードには、コンフォートとエコ、スポーツ、インディビジュアルが用意される。デジタルスライダーを用いて設定変更は簡単になった。各モードの間には追加ステップが設けられ、ドライビング特性を広範囲に選べる。

リアサスペンションは、7代目同様にマルチリンク式。車高は通常の8代目ゴルフより15mm低い。もちろん設定もGTI専用となる。

ホイールは17インチが標準。オプションで18インチと19インチも選べる。プロトタイプには18インチのホイールに、ブリヂストン・ポテンザS005タイヤを履いていた。サイズは225/40だ。

フォルクスワーゲンが新しいGTIで目指していることの1つ。それは、複数のメカを、複数の電子制御システムと連携させ、より優れた統一感と漸進性、鋭さを備えたドライビング特性を獲得すること。

7代目のシステムをベースにしながら、ネットワークを強化し、精度や落ち着き、安定性といったフィーリングも引き上げている。「究極のパフォーマンスのために、ナーバスなクルマは望んでいません」

「新しいシステムは、考えられるあらゆる状況下で、ドライバーとクルマとの信頼関係を高めるものです」 シェブスダットは、自信を伺わせる。

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