【英国に変化を与えた懐かしの日本車6台】ダイハツ・コンパーノ800/トヨタ・コロナ(T40型)/ホンダS800 前編

公開 : 2020.05.23 11:50  更新 : 2022.08.08 07:40

日本車への抵抗をなくしたトヨタ

1964年、トヨタは3代目のT40型コロナを発表。先代のT20型とT30型は、どちらかといえばアメリカ・デトロイト風のボディラインを持っていたが、3代目ではデザイナーにピニンファリーナを起用した。

いま見ると、トヨタのボディデザインは華やかで万人受けするように見える。公式にはアロー・ラインと表現されていた。

トヨタ・コロナ(T40型・1965年−1968年)
トヨタ・コロナ(T40型・1965年−1968年)

このトヨタ・コロナには、AUTOCARが1966年に試乗している。「活発な走行性能を備え、作りの良い家族向け4シーター」 だとまとめている。

T40型コロナは、オーストラリアやニュージーランド、南アフリカなどでも製造。その展開ぶりに、当時のブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)の海外販売部門は驚いたという。

今回登場願ったトヨタ・コロナは、デラックス仕様。インテリアの時計にラジオ、熱線入りリアガラスが備わる豪華版だ。

贅沢な装備を持ったコロナに、好奇心の強いドライバーが関心を示した。試乗の機会が用意されたが、実際はヒルマン・ミンクスではなくトヨタ・コロナを選ぶことに対して、社会的な見られ方を気にする必要があった。

日本製のトヨタを運転すると、近所の人から愛国心がない、と陰口を叩かれる心配があったのだ。それでも1970年代に入り、T40型からT80型へと交代する頃には、英国人が「ガイシャ」を購入する抵抗感もなくなっていた。

XTB 341Dのナンバーを付けた白いコロナは、2006年に英国トヨタ・ヘリテイジ部門の車両に加わった。広報担当のリチャード・シーモアは、現代の交通にも充分についていける、1.5Lエンジンを載せたサルーンを気に入っているという。

世界最高のクルマを目指したホンダ

ブレーキの操作は少し難しい。充分に強力な制動力を示すが、「オン・オフ」スイッチのように急に効くため。それでも54才を迎える古いトヨタは、日常的に気軽に乗れる、好印象なクラシックモデルだといえる。

トヨタが英国の郊外に姿を表す頃、トライアンフやMG、オースチン・ヒーレーのディーラーは、別の日本車の存在に懸念を示していた。当時のAUTOCARが「小さなロケット」と表現していた、ホンダS800だ。

トヨタ・コロナ(T40型・1965年−1968年)
トヨタ・コロナ(T40型・1965年−1968年)

1960年代、英国人ライダーの多くは、日本製バイクは平均以下だとみなしていた。だが1962年には、英国に設立されたホンダUKが販売するバイクの台数は5桁へと飛躍。そして1963年、ホンダUKは小さなスポーツカーのS500を英国へ持ち込んだ。

創業者の本田宗一郎は、日本でベストのクルマを生み出すと決心していた。「そのためには、世界で最高のクルマを作る必要があります」 と話している。

S500は1964年になるとS600へと排気量を拡大。クーペボディも追加となり、1965年にはS800が導入された。

1966年にロンドン・モーターショーへ姿を表したホンダのオープンカーは、1967年から英国での販売を開始。リアはリジッドアクスルで、フロントにはディスクブレーキが採用されていた。

当時のモータースポーツ誌は強い感銘を受けている。「ローラーベアリングを備えたアルミ製のツインカムエンジンは、鋳鉄製のプッシュロッド・ユニットより、はるかに魅力的です」 と。

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