【詳細データテスト】 ランドローバー・ディフェンダー オン/オフ共に無敵 高コストだがクラスベスト

公開 : 2020.05.23 10:20

意匠と技術 ★★★★★★★★★☆

クラシックミニと同様、かつて旧型ディフェンダーは奇抜なものに見えたが、いまや履き慣れたスリッパのように馴染み深いものとなっている。それだけに、こうしたアイコニックなモデルの刷新はリスクを伴う困難な仕事だ。そしてランドローバーが、長い間その術を見出せずにいたのは間違いない。

しかし、ミニやフィアット500がそうであるように、ランドローバーの象徴にもそのときが訪れた。オリジナルのランドローバーが示した基本形は、この新型車にもある程度ながらも受け継がれている。

空力を考慮したデザインの中で、気になるのが前後のライト形状だ。小さな段やくぼみには、おそらくダストや汚れが溜まるだろう。
空力を考慮したデザインの中で、気になるのが前後のライト形状だ。小さな段やくぼみには、おそらくダストや汚れが溜まるだろう。

フロントウインドウは衝突安全基準と空力設計の許す限り立たされた。0.40というCd値は、現代的な乗用車の許容範囲ギリギリで踏みとどまったといったレベルだ。

いまどきのクルマとしては、ボディサイドがフラットで、ウインドウラインが低い。切り立ったテールエンドには、サイドヒンジのドアと、フルサイズのスペアタイヤが備わる。

ボディ素材は今回もアルミニウム。それを支えるD7アーキテクチャーは、ジャガー・ランドローバー(JLR)のあらゆるエンジン縦置きモデルと、EVであるIペイスに用いられるものだ。

そうはいっても、他モデルと共有しているのはモジュールであり、ディフェンダーのそれはD7xと呼ばれる、ほかより頑丈なプラットフォームだ。

専用のホワイトボディは接着剤とリベットを併用して組み立てられ、スティールのサブフレームを前後に接合。地上高は、ほかのいかなるランドローバー車よりも高い。

牽引重量は3500kg(北米仕様は3700kg)で、エアスプリングにより900mmの渡河深度を実現する。JLRはこのクルマを、4×4だがSUVではないという。納得するわけではないが、彼らのいいたいことは理解できる。

旧型にあって新型にはないものを挙げるなら、非常にコンパクトなディメンションだろう。新型は衝突安全法規のクリアやテクノロジーの大量導入、さらに乗員の快適性までも追求した結果の代償だ。全長は、ロングホイールベースの110では5018mmに達する。ショート版の90は50cmほど短いが、それでも旧型110と同等だ。

われわれとしては、今後のバリエーション拡大にも注目している。リアオーバーハングが延長された130と、積載重量を900kgとした各サイズの商用バージョンの追加には期待したいところだ。

ランドローバーは、ピックアップの製作も技術的には可能だとしながら、量産化は否定している。ディフェンダーはトラディッショナルなピックアップのマーケットから離れて久しく、再参戦するにはJLRの生産規模が小さすぎる。

なにより、新型ディフェンダーはプレミアムなモデルとなった。110の価格は4万5000ポンド(約630万円)ほどからで、今回のテスト車であるP400 Xは本体価格がほぼ8万ポンド(約1120万円)に達する。

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