【世界最高を目指したV12】ラゴンダLG45とV12ラピード 戦前のクラシック 前編

公開 : 2020.05.30 08:20  更新 : 2020.12.08 11:04

80年以上前では桁外れのスピード

バンク毎に、ツイン・オーバーヘッドカムを備え、短いチェーンとギアを用いて駆動。Vバンクの内側には、SUキャブレターが2基載っている。

このエンジンには多くの特徴が見られる。異なる圧力で作動する2基のオイルポンプ備え、エンジン上部と下部と、それぞれ潤滑を受け持っている。

現役時代のアラン・グッド
現役時代のアラン・グッド

カムシャフトとは別で稼働するディストリビューター(点火タイミング装置)も、2基を搭載。2本のコイルが、それぞれ6気筒の点火をまかなった。

大きなエンドベアリングはなく、コンロッドは直接クランクシャフトへ結ばれた。排気マニフォールドの熱気は、ボンネット横のグリルから排出される仕組み。

フロントサスペンションはトーションビームとウイッシュボーンを用いた独立懸架式。大きなロッキード製ブレーキには制御系統が2回路用意されている。

実用的な4ドア・サルーン、ラゴンダV12のプロトタイプを手にしたのはアール・ホー。ブルックランズ・サーキットでは、160kmを1時間で走った。途中、パンクしたタイヤ交換で3分ほど停まったのにも関わらず。

その時の最速ラップでの最高速度は、173km/h。80年以上前のツーリングカーとしては、桁外れのスピードだったといって良い。

プロトタイプで発生した問題を改善すると、複雑な高性能V12気筒は優れた信頼性を示した。堅実な顧客のために、400ポンド安い設定で、メドウズ製エンジンを搭載した仕様も残された。

この続きは後編にて。

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