【詳細データテスト】ポルシェ・カイエン 二兎を追う者は一兎をも得ず 元凶は重さ

2020.06.06

サマリー

驚異的な動力性能と電動化による経済性を兼備する超高性能SUV。カイエン・ターボS E-ハイブリッドはそんな期待を抱かせます。ところが、重量ゆえに舵は鈍く、EV走行距離は限定的。一石二鳥とはいきませんでした。

もくじ

はじめに
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
内装 ★★★★★★★★☆☆
走り ★★★★★★★★★★
使い勝手 ★★★★★★★★★☆
操舵/快適性 ★★★★★★★★☆☆
購入と維持 ★★★★★★☆☆☆☆
スペック
結論 ★★★★★★★☆☆☆

はじめに

かつてのもっともワイルドなポルシェは、911ターボのような形態のものだった。すなわち巨大なウイングを備え、さらなる安全性が必要になればフロントにドライブシャフトを追加するクルマだ。

GT2 RSの興奮冷めやらぬ中で登場した新型911ターボSは650psを誇り、0-100km/hを2.6秒で駆け抜け、ゴミ収集車よりも広いのではないかというヒップとウイングを持つ。それを見れば、ポルシェは昔からなにも変わっていないと思うだろう。


しかし、いまやポルシェの実態は、SUVメーカーと呼んでも差しつかえない。昨年の販売台数を振り返ると、カイエンとマカンの合計がほぼ20万台だったいっぽうで、それ以外はすべて合わせて8万台どまりだったのだ。

原理主義的ファンには受け入れがたい数字かもしれない。だがそれは、SUVをビジネスの柱としながら、体面を保つためにスポーツカーを造り続けているのがポルシェの現状だと語っている。

それを踏まえて考えれば、いまもっともワイルドなポルシェを体現するのは、12万3349ポンド(約1727万円)のプライスタグを提げるカイエン・ターボS E-ハイブリッドなのだといっていいだろう。

倒産の危機にあったポルシェの救世主となったカイエンは、現行モデルで3世代を数えるに至っている。そのもっとも過激な仕様である今回のテスト車は実際のところ、いまのもっともワイルドなポルシェというポジションに値するクルマだ。

たとえどれほど疑問に思ったとしても、それを否定することは難しい。680psという最高出力は、現在の市販ポルシェ最強だ。しかもEV走行が可能で、経済性の面でも最良の部類に入る。少なくとも、スペック表の上では。

911もパナメーラもたどり着けなかった境地に達するだろうこのカイエンなら、無理なくファミリー全員でドライブできる。なにはともあれ、きわめて野心的なポルシェだといっていいだろう。しかし、狙い通りに仕上がっているのかどうか、それは乗ってみないとわからない。

 
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