【グランプリレーサーから4シーターへ転身】マセラティ・ティーポ26 前編

2020.07.05

サマリー

F1の前進となるグランプリ・マシンをベースに、4シーターへ改造されたマセラティ・ティーポ26。サーキットで速さを競ったあと、セカンドキャリアとしてグランドツアラーへ転身した、貴重な1台をご紹介しましょう。

もくじ

グランプリレーサーがベースの特別なティーポ26
150mm長いシャシーに4シーター
火のついた爆弾のように走ったマセラティ
アルファ・ロメオ8Cが最大のライバル
アイリッシュ・グランプリでの激闘

グランプリレーサーがベースの特別なティーポ26

text:Mick Walsh(ミック・ウォルシュ)
photo:Mick Walsh(ミック・ウォルシュ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
F1の前進となるグランプリ・マシンの牙をやや削り、高性能な2シーター・スポーツカーへ改造する手法は、自動車黎明期では一般的なものだった。だが、スーパーチャージャーを搭載した4シーターへ改める例は、当時でも珍しい。

1920年代から1930年代初めにかけて、メルセデス・ベンツはSタイプ、アルファ・ロメオは8Cという、名声高い長距離レーサーを生み出した。戦前のエキゾチック・スポーツとして、マセラティ・ティーポ26スポーツも、輝いた存在だった。

マセラティ・ティーポ26(1930年)
マセラティ・ティーポ26(1930年)

1930年代初めの英国で最もハイレベルなレース、ブルックランズ・ダブル・トウェルブとアイリッシュ・グランプリのために作られた、ロングシャシーの貴重なマシンがある。わずか2台だけが作られた特別なティーポ26で、1台だけが、今も現存している。

ビジネスで成功した資金力と、エンスージァストからの熱い支持を得ていたマセラティ。イタリア・ボローニャの小さなファクトリーで、競争力の高いツインカム・マシンをハンドメイドで生み出していた。

流麗なボディに、スーパーチャージャーで過給したエンジンを積む2シーター・レーサー。ロンドンのキャブレター・メーカー、RAGパテンツ社でディレクターを務めていたマックス・モリスへも、強い感銘を与えた。

1930年の終わり、アイルランドの富豪だったRAガーストンなどの後押しで、モリスは自社のプロモーション用に2台のマセラティをオーダーした。それが、このティーポ26スポーツだ。

 
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