【華やかに着飾ったカブリオレ】VWカルマン・ギアとルノー・フロリード 前編

公開 : 2020.07.11 07:20  更新 : 2020.12.08 11:04

リアエンジンを匂わせないスタイリング

ナピンのフロリードは一度、1960年代にナイジェリアへ運ばれた過去がある。テールに付いた楕円のWANというプレートは、西アフリカ・ナイジェリアの略だ。それから英国に戻るが、35年間ほどはほとんど乗らずに保管されていた。

ギア社は、ルノー・フロリードのデザインを、ピエトロ・フルアに委託した。マセラティでデザイナーをしていた人物で、A6からミストラルまで多くのモデルを手掛けている。

ルノー・フロリードS(1959年)
ルノー・フロリードS(1959年)

彼が描き出したのは、ベースとするドーフィンとはまったく異なるスタイリングだった。ビートル・ベースのカルマン・ギアと同じくらい。

丸く小さなサルーンとは異なり、フロリードは洗練され垢抜けている。締まりのあるボディラインに、控えめなテールフィン。ボディサイドには2つの彫刻的なカーブが付くが、1964年のフォードマスタングから影響を受けたのだろう。

のっぺりとしたフロントノーズとヘッドライトの処理は、どこかMGBのフロントにも似ている。ルノーはライバル視していたはずだ。

ルノー・フロリードは、クーペとソフトトップのカブリオレ、ハードトップを備えるコンバーチブルの3タイプが用意された。比較的ボンネットは長く、ショートデッキ。一見するとフロントエンジンのプロポーションを持つ。

リアエンジンを伺わせるのは、フロントグリルがないことくらい。トランスミッションもプロペラシャフトもなく、フロント側の構造はシンプルだし、フロアはフラット。それでも、ステアリングホイールは少し左側にオフセットしている。

この続きは後編にて。

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