【RAV4派も唸る】新型ハリアー試乗 ガソリン/ハイブリッド比較 走りの評価は?

公開 : 2020.07.13 06:50  更新 : 2021.12.28 00:04

ガソリン車の見どころ

NA 2Lのガソリン車を全開で加速させればスペック相応の性能。1.6tクラスの車重には厳しい。

しかし、全開加速を除けば非力感を意識させられることはあまりない。巡航回転数は2000rpm以下。わずかな踏み込みのトルク立ち上げ反応もよく、巡航ギア維持能力も良好。

トヨタ・ハリアーZレザーパッケージ(ガソリン/FF/プレシャスブラックパール)。
トヨタハリアーZレザーパッケージ(ガソリン/FF/プレシャスブラックパール)。    前田恵介

高速の登坂や緩加速では多段変速の0.5段分くらいのダウンシフトで2000~2500rpm辺りを用いるが、持続的な急加速でなければ無闇に回転を上げない。

エンジン回転域の落ち着きではハイブリッド車以上。追い越しや流入加速も含めて流れに乗せた走りでは2.5L級の余力感があり、ツーリングを主体とする用途でも不足ない。

ハンドリングも穏やかで、品のいいパワーフィールと相性がいい。

切れ味に乏しいとも言えるのだが、操舵量に神経質にならずとも狙ったラインに乗り、路面のうねりなどによる方向性の揺らぎも少ない。軽めの操保舵力ながら収まりもいい。

操る醍醐味は希薄でも、その分だけハイアベでも気楽に操れる。懐深いハンドリングである。

「買い」か? 後席/荷室/装備

新型になって走りの質感を大幅向上。燃費はクラストップレベル。ハイブリッド車なら20km/L以上もそう難しくない。

後席は多少閉鎖感が強いが、Z系ならば大開口の調光パノラマルーフも用意されている。荷室容量も余裕がある。

トヨタ・ハリアーZ(ハイブリッド/FF/ストレートグレーメタリック)のトランク。
トヨタ・ハリアーZ(ハイブリッド/FF/ストレートグレーメタリック)のトランク。    前田恵介

悪路対応力も先代から向上。上級ワゴンとして選んでもいいし、ちょっとしたアウトドア趣味も無理のないプレミアムSUVとしてもいい。スウィートスポットがかなり広いモデルである。

しかも、ミドルサイズのプレミアムSUVとしては買い得感が高い。

ポジションメモリーはレザーパッケージ仕様に限定されるが、ベーシックグレードのS以外は運転席パワーシートを標準装着。

「トヨタセーフティセンス」はもちろん全車標準。パワーバックドアはS以外に、ディスプレイオーディオはS、Gにも標準搭載される。

RAV4派にも、有力候補に

内外装の艤装も含めて装備レベルが高い。価格は同等装備のRAV4とほぼ同じ。ハリアーの評価では両モデルの比較は必須である。

ハリアーとRAV4の違いは外観の印象どおり。

走行中の前・後方向映像を録画可能な「デジタルインナーミラー」をトヨタ車で初採用。
走行中の前・後方向映像を録画可能な「デジタルインナーミラー」をトヨタ車で初採用。    前田恵介

プレミアム&コンフォートを軸とするハリアーに対して、RAV4はダートスポーツ的な走りもオフロード走行も無難にこなし、後席の開放感にも優れ、レジャーグッズ積載向けの荷室を備える。

若々しさやスポーティな味わいを求めるならばRAV4が有力である。

相対的にはハリアーはオンロードツーリング主体の用途向けとなるが、悪路対応力もコスパも高まっているだけに線引きは悩ましく、RAV4を考えているユーザーにとってもハリアーとの比較は欠かせないのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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