【PHEVのメリットが見えにくい】キア・クロスシード1.6 GDi PHEVへ英国試乗

公開 : 2020.07.18 10:20  更新 : 2021.03.05 21:36

海外ではトヨタC-HRなどのライバルとなる、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のクロスオーバー、キア・クロスシード。カタログ数値は評価できるものの、動的性能は期待はずれだとする英国編集部。一般道で評価しました。

PHEVを採用したスポーツ・クロスオーバー

text:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
燃費を良くし、CO2の排出量を抑えることが欠かせないこれからの自動車。今回試乗する、キア・クロスシードのプラグイン・ハイブリッドがウリとしている分野だ。

カタログに記載されるシステム総合での燃費は、70.0km/L以上。電気の力だけで57kmの距離を走行でき、CO2の排出量はわずかに32g/km。素晴らしい数字だといえる。

キア・クロスシード1.6 GDi PHEV 3(英国仕様)
キア・クロスシード1.6 GDi PHEV 3(英国仕様)

通常のPHEVと一線を画すのが、スポーツ・クロスオーバーと呼ばれるボディをまとうこと。一風変わったシードという名称を名乗るクルマとしては、4種類目のモデルとなる。

全高は通常のシードより高い。結果、ドライビングポジションはスポーティだが、着座位置も高め。興味深い組み合わせだとはいえる。

クロスシードは、主に欧州市場向けにデザインされている。コンパクトなボディで、見た目もいい。キアらしく、ボディパネルの隙間は均一で、塗装の質感も高い。

積極的に腕利きのデザイナーを雇うだけあって、インテリアの仕上がりも細部まで良好。7年か16万kmの保証まで付いてくる。ただし、これらはPHEVではないシードと共通する部分ではある。

ホイールベースは2.65mとシード・ファミリーで共通。1.6Lの4気筒ガソリンエンジンを横置きし、前輪を駆動するという点も、他のシードと変わらない。

期待はずれの動的性能

しかしPHEV版では、29psを発揮する電気モーターをトランスミッションへ付加。都市部などは、電気の力だけでも走れる。トランスミッションは、PHEVで一般的なCVTではなく、6速デュアルクラッチATを採用する。

燃料タンクの横に搭載されるバッテリーの容量は、8.9kWh。シードの設計当初から、キアは電動化技術の採用を前提としていた。

キア・クロスシード1.6 GDi PHEV 3(英国仕様)
キア・クロスシード1.6 GDi PHEV 3(英国仕様)

エンジンをアシストする、電気モーターのドライブ・モードには3種類がある。EVモードでは、バッテリーの充電量が充分な限り、基本的にエンジンは始動しない。オートマティック・モードは、状況に応じて電気モーターとエンジンを最適に制御してくれる。

ハイブリッド・モードへは、バッテリーの残量が少なくなった時に自動で切り替わり、エンジンが主役になる。モードを問わず、減速時には運動エネルギーを電気エネルギーとして回収し、バッテリーを充電する。

さらにスポーツ・モードも選べる。アクセル操作に対する反応が鋭くなり、基本的にエンジンは稼働し続ける。電気モーターのアシスト量を保つため、バッテリーの充電も積極的に行われる。

ところが、スポーツ・モードを選んでも、動的性能は期待はずれ。0-100km/h加速の時間は10.4秒で、見た目から想像するような速さに留まる。最高速度は172km/hだ。

バッテリーの充電量がある限り、電気モーターでの都市部の走りはとてもスムーズ。ただし、あまり急いではいけない。

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