【BMWとポルシェを超える評価】スープラ vs BMW M2 vs 718ケイマン比較試乗 後編

公開 : 2020.08.10 11:50  更新 : 2021.03.05 18:45

長所も多いが、短所もなくはない

それでは、ポルシェ718ケイマンが今回の勝者と呼べるのか。すべてに輝ける長所があるものの、弱点もある。比較試乗を進めるほどに、評定が難しいことがわかってきた。

ケイマンのシャシーは卓越している。しかし、現在の水平対向4気筒エンジンの、気が抜けた印象は看過できない。コーナーの続く道でケイマンは輝けても、退屈な加速と冴えないサウンドで、ストレートでは霞んでしまう。

トヨタGRスープラ・プロ/ポルシェ718ケイマンT/BMW M2コンペティション
トヨタGRスープラ・プロ/ポルシェ718ケイマンT/BMW M2コンペティション

刺激的なBMW M2は、718ケイマンとは対極。エンジンの生み出す激しいサウンドは、聞き飽きることがない。特にMTとの組み合わせなら、少し子供っぽいと感じるほどに、楽しい時間に浸れる。

一方で限界領域では、控えめな2シリーズを起源とする部分も見えてしまう。素晴らしいドライバーズカーではある。しかし今回の3台の中では、純粋なスポーツカーというより、究極のスポーツサルーンという色が拭えない。

そう考えると、718ケイマンとM2コンペティションは、ほぼ同列だといえる。

つまり、この3台での勝者は、新しいトヨタ・スープラ。ただし、ほかの2台が備える弱点があっての勝利ともいえ、自らの圧倒的な力で勝ち取ったものとは少し違う。パワーのあるケイマンSと戦わせれば、この結果は逆転するに違いない。

トヨタ・スープラは、得られるであろう最高の状態へ、1割ほど届いていない。魂に訴えかけるようなエンジンサウンドに、より優れた減衰力特性。そして、クラッチのあるトランスミッション。

スープラの驚くほどに高い完成度

新しいスープラは、明確な個性と魅力を備えた、楽しさに溢れるスポーツカーだ。ひたすら運転するために、乗りたくなるだけではない。日常的な足としても、3台の中では最も付き合いやすいだろう。

トヨタ・スープラが成し遂げた、驚くほどに高い完成度は間違いない。ただし、開発チームには少しの宿題も残っていると思う。満点まで、あと10点。これからに期待したいところだ。

トヨタGRスープラ・プロ/ポルシェ718ケイマンT/BMW M2コンペティション
トヨタGRスープラ・プロ/ポルシェ718ケイマンT/BMW M2コンペティション

スポーツ・クーペ 3台のスペック

トヨタGRスープラ・プロ(英国仕様)のスペック

価格:5万4000ポンド(729万円)
全長:4379mm
全幅:1865mm
全高:1292mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.3秒
燃費:12.2km/L
CO2排出量:170g/km
乾燥重量:1495kg
パワートレイン:直列6気筒2998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:339ps/5000-6500rpm
最大トルク:50.7kg-m/1600-4500rpm
ギアボックス:8速オートマティック

ポルシェ718ケイマンT(英国仕様)のスペック

価格:5万2055ポンド(702万円)
全長:4379mm
全幅:1801mm
全高:1295mm
最高速度:273km/h
0-100km/h加速:5.3秒
燃費:11.5km/L
CO2排出量:186g/km
乾燥重量:1350kg
パワートレイン:水平対向4気筒1998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:300ps/6500rpm
最大トルク:38.6kg-m/2150-4500rpm
ギアボックス:6速マニュアル

BMW M2コンペティション(英国仕様)のスペック

価格:5万3260ポンド(719万円)
全長:4475mm
全幅:1855mm
全高:1410mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.2秒
燃費:10.3km/L
CO2排出量:201g/km
乾燥重量:1550kg
パワートレイン:直列6気筒2979ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:409ps/5250-7000rpm
最大トルク:56.0kg-m/2350-5200rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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