ボルボ、道路に埋設されたマグネットで位置を正確に把握するテストを実施

公開 : 2014.03.12 22:10  更新 : 2017.12.14 12:31

ボルボ・カー・グループは、自動運転を行う車両が自車の位置を正確に把握するために、道路に埋め込まれたマグネット使用する方法を用いた研究プロジェクトを開始した。スウェーデン運輸管理局との戦略的な提携によって実施されたこのプロジェクトは、自動運転車の実現に向けて行われるもの。

高い精度で正確に自車位置を把握することは、自動運転車の開発において重要な課題の1つ。GPS やカメラなど、すでに確立されている測位技術もあるが、これらは特定の条件において制限を受けるのが難点。道路に埋め込まれたマグネットは、物理的な障害物や悪天候の影響を受けないのが利点となる。

「マグネットは最大誤差10 ㎝未満の、目に見えない“道路”を作り出します。様々な速度域でテストを繰り返し、将来的に有望な結果が得られています」と、ボルボ・カー・グループの予防安全技術リーダー、ヨーナス・エクマークはコメントしている。

「我々の目標は、あらゆる場面において自動車が自律走行を可能にすることです。正確で信頼性の高い自車位置の測位は、自動運転車のために必要な前提条件です」とヨーナス・エクマークは続けます。「この技術により、現在のインフラストラクチャを変更することなく、自動運転を実現することが可能となります。さらにこの技術は道路標識を補完する機能など、他にも興味深い可能性があります」とも語っている。

道路に埋設されたマグネットは、測位技術を組み込んだ予防安全システムにより、車両が道路から飛び出すような交通事故の防止や、マグネットにより、雪に覆われ見えなくなった道路端のガードレールや標識との接触を防ぎ、冬季の道路メンテナンスを簡略化。更に、正確な自車位置の測位により、これまで以上に道幅を狭くすることが可能といった面で有効となる。

ボルボの研究チームは、イェーテボリ郊外のヘラレッドに、長さ100メートルのテストコースを作り、丸いフェライトマグネット(40×15ミリメートル)を一定間隔で、路面から地中200mmの深さに配置。テスト車には、複数の磁力センサーを装着しているという。

「これまでのテストにより、インフラ整備や車体オンボードセンサーでの検知技術の両面において、フェライトマグネットの使用が効率的かつ信頼性が高く、比較的安価なソリューションであることが分かってきました。次のステップでは、実際の交通環境においてテストを実施します」とヨーナス・エクマークはコメントしている。

また、「今回のテスト結果は、自動運転車の開発のためだけでなく、安全性の向上にも寄与する可能性があるという点で、非常に興味深いものです。大規模な道路へのマグネットの埋設は、持続可能なモビリティ社会に貢献する技術を他国に先駆けて開発するというスウェーデンの目標のための重要な一歩となります」とスウェーデン運輸管理局の交通安全部長、クレス・ティングヴァルは語っている。

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