ポルシェのEV、ミッションEがフランクフルトで公開

公開 : 2015.09.15 22:40  更新 : 2017.06.01 02:04

今年のフランクフルト・モーターショーの注目を片っ端から集めたのがミッションEと呼ばれるポルシェのEVコンセプトカーだ。テスラモデルSの対抗馬であり、最高出力は608psに及ぶという。

ル・マンのウィナーである、919ハイブリッドのストラテジーを利用し、軽量コンストラクションとバッテリー・テクノロジーは918スパイダーからヒントを得ているのだそうだ。

速さは911ターボに匹敵

0-100km/hタイムは現小型の911ターボと肩を並べるレベルであり、航続可能距離は533kmに及ぶ。800Vのリチャージ技術と完璧なるゼロ・エミッション走行を可能にするのだそうだ。

R&D部門を統括するウルフギャング・ハッツは「これまでわれわれは、電気自動車を作るならばスポーツカーでなければならないと宣言してきました」と語る。

さらに「日々の使用に問題ない実用性と他を引き離す航続可能距離をついに実現できました」とも。

ミッションEを動かすのは前輪を動かすためにフロントに設置されたモーターと、後輪を動かすためにリアに設置されたモーターの2機だ。

どちらのモーターもポルシェ内製であり、ハッツは「信頼できる加速力を実現」さらに「エネルギー回生装置はこれまでの比にならないほど」と語っている。

各モーターの出力に関してはまだ公開していないが、合計出力は608psに及ぶと明言。3.8ℓツイン・ターボ・エンジンを搭載する911ターボよりも81ps強力であり、製品版のポルシェのなかで最も優れた加速力だという。

乾燥重量は2000kgを超えることから、0-100km/h加速は3.5秒となる。911ターボの公式値よりも0.1秒だけ及ばないということになる。

0-200km/hタイムは12秒以下、オンデマンド方式の4WDシステムは、加速時とハードなドライビング時、路面が滑りやすいときのみに前輪を駆動する。電制のトルク・ベクトリング機能は、ハンドリングの向上のために後輪のそれぞれに自動的にトルク配分する。

ハッツはミッションEのハンドリングに関して「典型的なリア・バイアス」だと表現。またコンピューター・シミュレーションによるとノルドシュライフェを8秒以下で周回できるのだそうだ。ケイマンSのタイムと近似する。

692psのテスラ・モデルS P85Dの価格は£79,080(1,470万円)。0-100km/hタイムは3.2秒だ。

持続可能なパフォーマンス

フロント・フェンダー部には、ポルシェ・ターボ・チャージング・システムと呼ばれる充電ポートが格納される。業界初の800Vの充電プロセスを採用している。

400kmの航続可能距離を可能とする80%までの充電時間はわずか15分。既存のEVのの半分の時間ということもできる。充電装置もコンパクトなものになるそうだ。

液冷バッテリーはホイールベース上のフロアに敷き詰められ、918スパイダーと同様の重心高を実現しているという。

セル技術と組み合わさるリチウムイオン・ユニットはアウディのe-トロン・クワトロ・コンセプトと共通のものでありプロセスは919ハイブリッドのものを流用する。サーキット走行には最良の方法なのだそうだ。

完全に新設計のプラットフォーム

「まったく新しいストラクチャーを考えました。センター・トンネルはなく、デザインにも好影響をもたらします」とハッツ。

フロアパンはアルミニウムと高強度スチール、CFRPにて構成され、2018年のプロダクトカーから技術利用ははじまるという。

ガソリンやディーゼル、ハイブリッドにも利用せず「あくまで独立した電気自動車なのです」ともコメント。

ハッツは ‘小型パナメーラ’ という立ち位置を否定しており、プラットフォームやフロアパン、ストラクチャーはミッションE専用のものとなる。

新型パナメーラに関するヒント

ミッションEのシャシー、サスペンションを含む様々なエレメントは2016年にデビューする予定の2代目パナメーラをソースとする部分も多い。

詳細については明らかになっていないところが多いが、911のどのグレードでも選べるようになった4輪操舵システムも組み合わされるようだ。

前後それぞれ21インチと22インチのホイールは、911 GT3にも使用されるセンター・ロック方式を採用している。

「このクルマに関してわれわれは大いに賭けているのです。単なるコンセプトではなく、ポルシェの将来を示すためのものです。50年後の911と同じくらいの影響力をもたらすことになるでしょう」

デザインはミヒャエル・マウアーが率いる小規模なチームで進めらた。マウアーはメルセデス・ベンツサーブ、GMのデザイナーとしての経歴をもち、2010年のジュネーブ・モーターショーでデビューした918スパイダー・コンセプトの際も責任者として関わっていた。

特にリアのルックスは伝統的なリア・エンジンのポルシェのそれを強くイメージさせ、前後に伸びやかな車体は間延びすることはなく、力強さをアピールしている。

なめらかに接続するボディ・ラインはクラシック・ポルシェのそれを思い起こさせるが、前後の燈火類はLEDを使用することによって現代的になっている。

ヘッドライトはここ最近のモデルに見られる4ポイントのグラフィックを使用。リアビュー・ミラーの代わりにフロント・フェンダー部に小型カメラを設置し、フロント・ガラス内側の下部に後方の映像を表示するのだそうだ。

新しいスタイルと馴染みあるフィール

全長は4850mm、全幅は1990mm、全高は1300mm。パナメーラに比べると165mm短く、60mmワイド、120mm低いということになる。

ちなみにテスラ・モデルSの全長は4975mm、全幅は1965mm、全幅は1435mmだ。

インテリアは独立式の4座が大部分を占め、背もたれとヘッドレスト周辺は別個のパーツとなる。ラゲッジ・ルームはフロントのボンネット下と、固定式のリア・ウインドウの下(こちらフロントより小さい)の2箇所となる。

フロント・ウインドウはかなり寝そべっているが、シート・ポジションは911のそれと似通っている。「おなじみの911の感覚を残したかったんです」とインテリア・デザイナーのイーボ・ヴァン・フルテンは語る。

超現代的なダッシュボードには5つのメーターがおさまる。ビスポークのステアリング上のボタンを押せば、視線追跡システムを立ち上げることも可能だ。この機能をオンにすれば、3Dのディスプレイはドライバーの視線に合わせて位置を変える。

パッセンジャー側にもホログラム対応ディスプレイが伸び、3Dのグラフィックを表示できるとのことだ。

▶ 2015 フランクフルト・モーターショー

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