アルピーヌ・ビジョンを公開

公開 : 2016.02.17 23:50  更新 : 2017.06.01 01:37

ルノーは、パフォーマンス・ブランドとしてアルピーヌのネーミングを来年から復活させるが、その第1弾となる新しいスポーツカーとしてアルピーヌ・ビジョンをデビューさせた。このアルピーヌ・ビジョンは、来月のジュネーブ・モーターショーでワールド・プレミアを果たす予定の2シーター・ミドシップ・クーペだ。

モンテカルロで行なわれたイベントで、ルノーのCEO、カルロス・ゴーンによって、ジュネーブ・モーターショーより一足先に公開されたが、もちろんモンテカルロはアルピーヌ・ルノーが歴史的に成功を収めた記念すべき地である。

新生アルピーヌは、ルノー内部にチームとディビジョンが設定され、開発が行なわれた。組織は、責任者にマイケル・バン・デ・サンデ、副常務には前ルノー・スポールのチーフであったベルナルド・オリビエ、デザイン責任者にアンソニー・ヴィライン、セールス&マーケティング責任者にアルノー・デレベックという、ルノーではベテランと言えるスタッフ、そしてラリー経験者が名を連ねている。

ゴーンは、アルピーヌはルノーにとって有力かつ有益なビジネスであるとし、長期的な投資を約束している。

アルピーヌはこのスポーツカー以外にも、幾つかのスポーツ・モデルと、SUVを製作する予定だ。まず、その第1弾となるスポーツカーのプロダクション・モデルは、今年後半に公開されて、2017年の第2四半期より生産が行われる計画である。

もともとこのプロジェクトは、ルノーがケータハムの株式の50%を取得し、ジョイント・ベンチャーとして進行する予定だった。しかし、その話は2014年に立ち消えとなった。プロジェクト自体に不確かな部分が多く、前ルノーCOO、カルロス・タバレスが2013年にルノーを去ると同時に、このプロジェクトの話は先に進むことはなかったのだ。

しかし、このジョイント・ベンチャーとは別に、水面下でアルピーヌ・プロジェクトは進行していたようだ。2008年に、新しいアルピーヌをデビューさせる予定であったが、世界的な経済危機のため、これは見送られた。しかし、2012年にアルピーヌ生誕50周年を記念し、アルピーヌA110-50コンセプトを発表している。更に昨年のル・マンではアルピーヌ・セレブレーション・コンセプトを表している。

このアルピーヌ・ビジョンは、公式にはショー・モデルとされているが、デザイン責任者のヴィラインは、80%はプロダクション・モデルに移行するとしている。また、ゴーンも極めてプロダクション・モデルに近いということを認めている。実際、サイド・ミラーとアロイ・ホイール以外は、デザイン的には2017年に生産が開始されるプロダクション・モデルとほぼ同じと言えるだろう。

アルピーヌ・ビジョンは、ハイ・パフォーマンスで、エレガントさを持ち、軽量で、ドライビング・プレジャーを愉しむためのピュアな駆動形式を持つクルマとされる。

昨年のル・マンでアルピーヌのボス、オリビエは、AUTOCARに、「本当のアルピーヌとは、アルピーヌのDNAを引き継いでいることだ。それは、軽く、速く、ファン・トゥ・ドライブであるということだ。」と語った。また、「われわれはアルピーヌが現代的なデザインと最新のテクノロジーを保持すると同時に、過去のヘリテッジにも敬意を表する必要があった。」としている。更に、バン・デ・サンデは、「レトロではなく、非常にモダンでコンテンポラリーだ」とコメントしている。

詳細は現時点では不明だが、アルピーヌによってエンジンは4気筒ターボということは明らかになった。AUTOCARに予想ではクリオRSに使われる1.6ℓターボのスープアップした1.8ℓターボとなると予測する。エンジン・パワーも明らかにされていないが、過給圧の違いによって250psバージョンと300psバージョンが用意されるようだ。

トランスミッションは7速のデュアル・クラッチで、ステアリング・ホイールにはパドル・シフトが設けられる。バン・デ・サンデは、マニュアル・ギアボックスが用意いされるかどうかについてはコメントをしていない。

パフォーマンスは0-100km/h加速が4.5秒以下だという。これには1100kg以下という軽量な車重も大きく寄与する。

昨年、オリビエはAUTOCARに「パワーを上げるために軽量を捨てるのはアルピーヌのDNAではない。」と語っていた。

デザイン的には、ヘッドランプの内側にレイアウトされる補助灯が往年のA110を彷彿とさせるもの。

一方、キャビンはハイテクそのものだ。アウディTTスタイルのデジタル・ダッシュボードはその一つの例である。トリムは、本革、アルミニウム、カーボンファイバーが多用され、バケット・シートと、バックルにアルミニウムを使用したハーネスも装備される。ドライビング・ポジションは極めて低く、スイッチ類はドライバー中心にレイアウトされる。また、アルピーヌ・ビジョンには、スポーツ・モードを選べるようなスイッチも付けられている。このモードを選択すると、よりシャープなドライビングが愉しめることになる。

シャシーはもちろん専用で、ルノー・スポールによって軽量化をメインに設計がされたもの。素材は公表されていないが、複合素材が使用されていると思われる。

アルピーヌ・ビジョンはリア・スポイラーを持っていないのも特徴のひとつ。空力的な仕事は、アンダーボディがしており、更にリアにはディフューザーが装備される。

当初、車重は1000kgを切ることが目標とされたが、それを達成するためには高価なカーボンファイバー・ボディを必要とするために、この目標は破棄されたという。

ルノーのCCO(チーフ・コンペティティブ・オフィサー)であるディエリー・ボローレは、アルピーヌ・ブランドがルノー・グループのテクノロジー・リーダーになるとコメントしており、軽量素材とエアロダイナミクス・ソリューションでのパイオニアになるという。

なお、アルピーヌは独立したブランドとなり、ルノー・アルピーヌ、あるいはアルピーヌ・ルノーといったようにルノーをネーミングに加えることはないという。

生産は、ディエップにあるルノーの工場で行われる。ここはオリジナルのアルピーヌ・ルノーが生産された場所でもある。ディエップでは、現在ルノー・スポール・モデルと、EVモデルを作製している。バン・デ・サンデによれば、アルピーヌが良質なスポーツカーを製造するために、ディエップの工場は大きな投資を受けることになるようだ。

販売は北米を含む全世界となる予定だが、まず最初にヨーロッパ市場で販売が開始される。ルノーは、現時点では北米市場に販売網を持っていないが、アルピーヌがルノーから独立したブランドとなるため、新たな販売チャンネルを構築する予定だ。

価格は£40,000(650万円)前後からとなる予定で、ポルシェ718ケイマンのライバルになると見られている。ゴーンは価格について言及はしなかったが、旧いアルピーヌ・ルノーA110が現在ユーストカー市場で付けられている値段、€80,000(1,000万円)よりは安いとコメントしている。また、その市場としては、極端すぎるロータス・エリーゼと、あまりにも重いケイマンの間の、ポッカリと空いたポジションを狙うという。


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