BMW、ビジョン・ネクスト100コンセプトを公開

公開 : 2016.03.08 22:50  更新 : 2017.12.14 12:31

BMWは、同社初のファクトリーが完成してから100周年を祝う式典にて、最新の自動運転コンセプトカーを披露した。

ビジョン・ネクスト100と呼ばれるこのクルマに関し、チェアマンであるハラルド・クルーガーは、デザインテクニックを示すと同時に、現在進行中の自動運転テクノロジーを反映していると説明。

技術的な説明は一切なされていないが、エミッション・フリーである点と、完全自動運転ができる点、同時にトラディショナルなマニュアル運転もできるという点が会場で語られていた。

「“もし自動運転があるならば” というよりも、“いつ自動運転が始まるか” という切り口で語られることが増えました。だからといって、クルマが単なる移動する ‘箱’ ではなく、デジタル技術の最先端かつ、アートの世界とも隣接すべきであると考えます」とクルーガー。

ビジョン・ネクスト100のボディはカーボンとプラスティックを掛けあわせたものを用い、コンベンショナルなスティール・ストラクチャーを使用しないことを明示。アッセンブリー工程は今日の技術を採用している。

4ドアのパッケージにこだわったのは、ドイツの乗用車メーカーならではのプライドもあるのだとか。BMW 4シリーズ・グランクーペや6シリーズ・グランクーペにもデザイン言語を反映できるというメリットもある。

視線を近づけると、ボディ表面がひとつの段差もなく、なめらかにつながっていることがわかる。デザイン部門を率いるアドリアン・ファン・ホーイドンクの言葉を借りるならば ‘i’ モデルとの共通項をもたせたということになる。ライト周辺の造形も共通点が多い。

Cd値=0.18という突出した数値を実現した車体の全長は4900mm、全高は1370mm。現行5シリーズに比べると10mm短く、100mm低いということになる。

一方のインテリアは、ビジョン・ネクスト100コンセプトを生みだすうえで ‘スタート・ポイント’ となったのだという。「パッセンジャーの気持ちを高揚させることが大事だと考えました」とホーイドンク。

ウイング・スタイルの自動ドアをスマートキーで開け、インテリアにアクセスするというスタイルで、乗り降りの際はステアリング・ホイールが自動で動いてくれる。

腰を下ろし、ステアリング上のBMWのエンブレムを押せばドアが閉じ、ステアリングが所定の位置まで移動。ドライバーズ・シートも任意の位置まで自動で動く。

ホーイドンクが言うに、インテリアの質感はBMW 7シリーズのレベルに匹敵するのだそうだ。また、今後すべてのモデルも、同じレベルまで引き上げられるという。

ドライブ・モードは、マニュアル運転が可能な ‘Boost’、自動運転の ‘Ease’ の2パターンに分かれる。前者は運転席が前を向き、デジタル装置もマニュアル運転に見合ったものになる。後者も同様にあらゆる装置が動き、リラックスした空間になるのだという。

SFの世界の話に聞こえなくもないが、BMWは実用化に向けて本気で取り組んでいる。‘アライブ・ジオメトリー’ と呼ばれるこれは、数年経てば実用化されるとのことで、将来的にはもっと複雑で柔軟な動作になる。

デザイン・ディレクターのアドリアン・ファン・ホーイドンクとの一問一答

ビジョン・ネクスト100の製品化の可能性は?

「もし私に決定権があるのならば、明日からでも作るでしょうが、このプロジェクトのタイトルのとおり ‘次の100年’ を見据えたものですから、いくつかのパーツは実際の稼働までに20〜30年を要しますし、本当に明日から製品に反映できるパーツもあります」

どうしてサルーンに?

「1600から3シリーズまで、サルーンはBMWのアイデンティティでもあるのです。これをビジョン・ネクスト100のコンセプトにしたのは、ある種、必然といっていいでしょう」

未来のクルマはすべて自動運転になるのでしょうか?

「われわれは、自分自身でドライブすることが、クルマを所有することのキーになると未だに信じていますけれど、交通量の多いところでは自動運転の方がいいとも思っています。そんななかで、BMWとしてエモーショナルな部分をどう掻きたてるかを考えています。最終的にはドライバー自身に、自動運転とマニュアル運転を選んでいただくというのが理想ですね」

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