終わりの見えない市販車の「パワー競争」 一体どこで頭打ち?

公開 : 2017.03.18 19:50  更新 : 2017.06.01 00:26

「パワー競争」は止めるべき?

日々、マクラーレンはF1や、1492psのブガッティ・シロンを超えるパワーを求めようと努力を惜しまないでいるが、実はそれはある意味では間違っていて、もう止めるべきであるとも言える。

感覚的な話ではなく、そもそも800psオーバーのクルマはコーナリングには適さない。

より大きなパワーを求めるということは、ことフェラーリにまつわるだけでなく、われわれの生活の中のさまざまな場面で身近なことである。

高カロリーな食事を好む人が多い傾向や、ルイ・ブレリオが100年前、いまのエアバスA380のような推力を求め、航空機開発に取り組んだことだってそうだ。

「平均的なファミリーカー」は、いまから30年前の1970年代、1.4ℓで74psを発生させるフォード・エスコートだった。

それが90年代には250psのメルセデス・ベンツSクラスに変わり、いまのSクラスならば、かつてのマクラーレンF1と同じほどのパワーを備えたクルマを買うことができる。

ほとんどの創造者がそうあるように、進化の過程でパワーと複雑さはなによりも先に体現される。われわれがアメーバから人間になったことも、戦時中暗号を解いた、部屋の一室ほどもある最初のコンピューターが縮小化され、ネコが棚からズリ落ちるようなかわいらしい動画を瞬間的に再生することができる性能を持ち合わせるようになったことも、だ。


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