日産デュアリスが欧州でトップ・クラスのシェアって知ってた? 大人気の理由、なぜ?

公開 : 2017.03.20 12:00  更新 : 2017.06.01 00:26

ではなぜ、デュアリスは人気になった?

デュアリスの登場により、ミニバンやワゴン一択だった頃よりも、カーライフはずっと好ましいものになったのだ。わが家の隣人などはその典型で、子供が生まれると、それまで乗っていたBMW320dクーペを手放し、デュアリスに乗り換えていた。

ウィルコックスは続ける。「2007年の発売当時、デュアリスはマーケットで独自性を持っていました。そして、現在でもクロスオーバーのナンバーワンの地位を保持しています。これはオリジナルの理想に忠実であると同時に、一貫して新たなテクノロジーを追加し続けているからです」

デュアリスの成功劇において重要な役割を果たしてきたのが、英国に構える日産のサンダーランド工場だ。ここはこのクルマの最大の生産拠点で、330万台余りの全デュアリスのうち、265万5551台がここの製造ラインから送り出されている。

このうち初代は175万2232台で、これには7座の派生モデルであるデュアリス+2も含まれる。また、英国では生産だけでなく、デザインや技術開発の大部分もおこなわれた。

初代の開発に当たったスタッフは200名ほどだが、その実に80%が英国を拠点にしている。ただしこれは、クルマの基礎となるプラットフォームは既存品がベースだったがゆえの数字だ。

これが2代目となると、クランフィールドのテクニカル・センターでは500名が開発に従事し、これが欧州日産のR&Dセンターのスタッフを50%増員させる原因となった。

2015年に、欧州におけるSUVの販売台数は、コンパクト・ハッチバックのそれを凌ぐという快挙を成し遂げた。多くのモデルあっての成果ではあるが、このカテゴリーの成長にデュアリスが火を付けたことは疑うべくもない。

今やこの地味ながら成熟したクロスオーバーは、欧州ではすっかりありふれた存在となった。しかしそれは、クルマそのものの善し悪しだけでは測れない成功を収めた。リスキーなチャレンジとしてスタートした新ジャンルの単一モデルが、自動車業界全体に深く根差すひとつの規範を生むに至ったのである。

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