ポルシェ「ミスターGT3」に聞く GTモデル成功秘話 苦悩もあった?

公開 : 2017.06.18 06:10

驚くほどシンプルな開発プロセス

GTモデルの開発プロセスは、驚くほどシンプルだ。

「チーム内で、極めて限定されたモータースポーツのグループに沿って立案します。それを社に提案するんですが、これが時間も神経も使うんですよ。なぜなら、わたしたちのチームはみんなモータースポーツに関していささかマニアックで、社内全員が同じ感覚というわけではないですから。とはいえ、その過程抜きにわたしたちが決定を下すことができないのは承知しています。ビジネスケースを構築して、組織として進めなくてはいけませんから」

では、実現に漕ぎ着けなかったモデルもあるのだろうか?

そう尋ねると、彼はちょっといたずらっぽい目でこちらを見てから、こう答えた。「造れなかったクルマは1台もありません。打率は10割というわけです」。

プレウニンガーは今や、彼の部署を週100台規模のクルマを生産するまでに拡大した。しかし、まだまだセールスは伸ばせるであろうことも想像に難くない。

「わたしは常々、需要よりも10台少ないクルマを造りたいと思っているんです」

ところが新車を発表するたび、見込み需要は倍増しているのだという。

「だからといって、サプライヤーに電話して、倍のパーツを造ってくれとオーダーしても無理があります。そのために彼らは、新たな工場が必要になるでしょうから」

そのため、GTモデルはハードコアな、真にモータースポーツに由来するサラブレッドであり続けるだろう。少なくともプレウニンガーの見解では。

写真の中を走る白とブルーのナナサンカレラを愛した子供は、おそらく最も敬意を集める社内チューニング部門を任される人物に成長した。ポルシェは、彼に機会を与えるたびに、その見返りを得てきたといっても過言ではないだろう。

そうして彼がこの仕事に取り組んで17年経った今、手掛けているのはおそらく噂が飛び交っている新型GT2RSだろう。

予想されるスペックが真実だとすれば、実現までの道程はまだまだ遠いようにも思われる。しかし、プレウニンガーはその仕事を順調に進めているはずだ。

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