ロールスやベントレー、「死」の先にある希望 超高級車の墓場を訪ねる

2017.07.01

解体ビジネス、いや高級車の未来

その問いに、ジョンソンは「まちまちですよ」と答える。「オーナーがレストアを試みて成し遂げられなかったり、修復するには割に合わないと判断されたり、亡くなったオーナーのご遺族が処分したいと思ったり、そういったクルマたちです」

そうして捨てられたクルマたちから、レストアやリサイクルの対象になるものを、どうやって見極めるのか。

「長年この商売をしていると、直感みたいなものが身につくんですよ。1台1台を査定するのは現実的ではないですし、その必要もありません。クルマの問題点は似たり寄ったりですし、買い取るクルマの8割か9割方は、持ち込まれた際に初めて目にするものです。時にはどうにもならないものを掴まされることもありますが、その分、幸運に恵まれることもあるんですよ」

正直言って、フライングスペアーズを訪れた当初は、かつての気品あるクルマたちが老いさらばえた姿を前にして、平静を保つことができずにいた。

ところが、これらがドナーとなることで、多くのロールス・ロイスやベントレーが今も走り続けているのだと知り、違う見方をできるようになった。

ジョンソンによれば、ここに来たクルマの80〜90%のパーツがリサイクルや再利用に回され、結果として、彼らが手掛けるほとんどの年式のロールスとベントレーに関しては、供給できない部品がほぼないのだという。入手が難しいのは、1950年代にコーチビルダーが手掛けたボディに使われる特注パーツくらいのものらしい。

フライングスペアーズでは、この工業団地内で可能な限りの土地をすでに手に入れているが、ハンドフォードはそれらを1ヶ所で賄える敷地を近場で探している。また、全ての在庫部品の情報をデジタル化する準備も進行中だ。

そこはロールス・ロイスとベントレーにとって、世界最大の墓場かもしれないが、同時に復活を支える場ともなるだろう。

寿命の尽きたクルマたちは、他のクルマに未来を与えるために、この安息の地へたどり着くのである。

 
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