自動運転、クルマ好きの敵か グーグル傘下「ウェイモ」中心人物に聞く

公開 : 2018.04.22 18:10

死亡事故を無くすため

研究によれば、自動運転技術は今世紀の中頃までに年間5兆ポンド(760兆円)のビジネスになるという。グーグルがこの分野に興味を持つのも頷けるだろう。

しかし、クラフシックは真顔で頑固に反論する。「一番のモチベーションはお金だと思うかもしれませんが、そうじゃないんです。目標は死亡事故を無くすことです。それがすべてです。この社会的利益に見返りがあるとすれば、それは素晴らしいですが」

安全性の問題について、自動車産業は独りよがりになっていたとクラフシックは感じている。

「『事故』という言葉は、実態を隠ぺいするために作られたようなものです。『悲劇』という言葉のほうがふさわしいでしょう」と彼は言う。

「ひとがクルマで死ぬのは当たり前のようになってしまいました。でも1時間に140人が死んでいる。多すぎますよ」

「ですから、われわれは死亡事故ゼロのドライバーを作り上げるのです。万人に対する安全性の確保と移動手段の提供がわれわれの目標です。どちらも簡単ではありません。前者は最終目標ですが、後者は大きな挑戦です。米国だけでも、今日3000万のひとが移動手段を持たないのです」

もちろん、ウェイモはこの分野で覇権を争っている会社のひとつである。例えばジャガー・ランド・ローバーも独自システムの開発を続けるだろう。しかし、グーグルの専門家集団、評判、それに豊富な資金力というアドバンテージで、ウェイモが有利なスタートを切ったことは疑いようがない。

自動運転は多くのクルマ愛好家にとって涅槃ではないかもしれない。しかしクラフシックは間違いなく自動運転の将来を切り拓いていくだろう。

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