リンダ・ジャクソン シトロエンCEOの1日に密着 英国女性自動車人賞

公開 : 2018.07.07 08:10  更新 : 2021.03.05 21:43

9:00 ヴェリジー

ヴェルサイユへと西へ向かうオートルートA86号線に面した、広大なADN(フランス語でDNAの意)技術センターは2004年からPSAグループの一員となった。ここは政府の立入制限区域に指定されており、デザイナーが屋外で作品を確認するところを見られないように上空も飛行禁止となっているといえば、どれだけ秘密扱いかおわかりだろう。

それだけに、セキュリティ構造も念入りだ。係員についてエレベーターで上ってはトンネルをくだり、分厚い壁にはまった鋼鉄のとびらをぬけて、ようやく「聖域」にたどりついた。そこでは、ジャクソンが生産戦略責任者のザビエル・プジョーと、もうすぐお目見えするヨーロッパ仕様C5エアクロスのボディ色と内装の組み合わせについて検分しているところだった。

ザビエル・プジョーはその名のとおりプジョーの創業者一族ながら、骨の髄までシトロエン党だ。販売責任者アルノー・ベローニやデザイン責任者アレックス・マルバルらとともに、幹部4人組として緊密に連携しながら指導力を発揮している。その様子は友だち同士のようだとまで言われているそうだが、それもジャクソンのお膳立てが功を奏している。

10:00 デザインの検分

検分するクルマはじつはひとつだけではなかった。テーブルは4卓あったのだが、それぞれC3エアクロス、C4カクタス、C5エアクロス、そしてまもなく登場の新型ベルランゴという4つのモデルに対応していたのだ。一堂に集めるのは、色や素材そして細部の処理がモデルをまたいで一貫しているかをたしかめるためのアイデアだという。

一貫性によって質感と現代性が際立つのだとプジョーは説明し、「楽観的な」かんじの色遣いがシトロエンならではの持ち味だと付けくわえた。いわれてみればどのクルマもたしかにそうだ。

ふたりの役員はテーブルを前に話しこんでいる。口ぶりは静かだが、仕事への真剣さがつたわってくる。20分後、ジャクソンは顔を上げると「いい感じだわ」とにっこり笑った。

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