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2018.11.26

なぜ日産はルノーに提携見直しを強く迫れる? ゴーン会長逮捕

敵対的買収を両陣営が避けたい理由

西川新代表取締役が徐々に口にしている、「アライアンスは維持しつつもルノーとの資本提携の見直し」に、ルノーは応じるしかない事情もある。

今のところ、日産が保持するルノー株は議決権なしの15%。10%を買い増して25%に持ち分を上げれば、日本の証券法によってルノーは自動的に日産の議決権を失うことになる。

対してルノーが日産の株式の中で絶対的安定多数を握るには、あと約7%が必要だが、コストとキャッシュフロー面ではすでに勝負あったの感がある。

というのも概算ながら、ルノー株の10%は現在の時価額にして約17億ユーロ(約2000億円)で、およそ1.5兆円の保留金をもつ日産にとっては難しい買い物ではない。

対して日産株の7%は時価にして約2600億円)で、手元の保留金が3600億円ほどのルノーにとっては手痛い出費となる。

敵対的買収で不利というだけではない。自動運転やEV関連の先行開発や投資で資金が不如意になることは、自動車メーカーとして持続的に発展していくことを難しくする。

いずれ提携の見直しや資本のリバランスがスピード感をもって決まらないと、ルノーや日産、三菱それぞれだけでなく、アライアンスの価値そのものを大きく損なうことになるだろう。

国のコントロールが、国益の名の下に企業の価値を損なうのは日仏とも望まない展開のはずだが、日産と日本側の強気な進め方にブレーキをかける手がかりとして、今後の捜査と取り調べの妥当性にフランス側が注視しているのは、いうまでもない。

それにしても既存の自動車グループの中でも、もっとも普及EVに注力していたルノー日産が不安定化したら、誰が得をするか?

それを考えると、薄ら寒い感覚すらある。今、ゴーン報道の影に隠れがちだが、フランスでは化石燃料の課税強化とクリーンエネルギーへの移行を謳うマクロン大統領の足元を揺るがすように、「ジレ・ジョヌ」と呼ばれる暴動が拡散している。

その中心となっているのは、人口密度の低い地方住まいで、ユーロ5以前の古いディーゼル車を通勤に用いているような労働者階級層なのだ。

北海油田や英国工場の問題が絡むブレグジット対応や、EUとロシア間の緊張、原油供給や価格の乱高下など、雇用とエネルギーの不安定化ひいては社会的な分断現象のひとつとして捉えると、ゴーン逮捕劇はまた違った様相を帯びてくるのかもしれない。

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