新技術ことはじめ 真のパイオニア vs 世間が考えるパイオニア 目指すは名誉回復

公開 : 2019.03.03 16:50  更新 : 2021.03.05 21:42

ハイパフォーマンス四輪駆動モデル

アウディ・クワトロが四輪駆動の素晴らしさを教えてくれたことを知らないひとはいないだろう。このクルマの登場によって、地球上でもっとも過酷な場所へ行くためであっても、運転の楽しみを諦める必要はなくなったのだ。

だが、アウディに先立つこと14年、ジェンセンもまったく同じアイデアを持っていたのであり、ジェンセンFFを覚えているひとはほとんどいないだろうが、1966年当時、このクルマはまさに革新的なモデルだった。

FFとは英国ファーガソン研究所が開発した四輪駆動システムを採用していることを示す「Ferguson Formula/ファーガソン式」の略であり、6.3ℓの排気量を持つクライスラー製V8エンジンのパワーを、初めてすべてのタイヤに伝達することに成功していた。

ファーガソンでは四輪駆動システムをレースカーのP99で初登場させているが、このクルマは1961年、スターリング・モスのドライブによって、オールトンパークで行われたインターナショナル・ゴールドカップに優勝したことで、F1で勝利した唯一の四輪駆動モデルとなっている。

残念ながら、このシステムのコストは高く、さらに右ハンドルモデルしか生産されなかったために、その生産台数はごく少数に留まっており、その結果、アウディにパイオニアとしての名誉を譲るとともに、後年、クワトロという強力なサブブランドの誕生まで許す結果となった。

真のパイオニア

1966年:ジェンセンFF

世間が考えるパイオニア

1980年:アウディ・クワトロ

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