ミニ生誕60年 歴史と思い出を振り返る 限界への挑戦、まだまだ続く

公開 : 2019.03.03 07:50

愛されるクルマ

今年後半、ミニはその長いモデルライフで3つ目のステージを迎えることになる。実験用モデルとして登場したバッテリー式EVであるミニEから数えて10年、ようやく量産モデルの販売が開始されることになるのだ。

もし、初代ミニを設計したサー・アレック・イシゴニスが、この新たなパワートレインがもたらすパッケージングの可能性を知ったなら、バッテリーによる極端な重量増はともかく、おおいに胸を躍らせたことだろう。

EVへの対応に関して、決してミニは先頭を走っているわけではないが、それでも、先頭集団には位置しており、EV化は技術面においてこのクルマに新たな時代をもたらすことになる。その点では、1959年に登場した初代ミニの技術的な先進性は驚くべきものであり、それまでの小型モデルをゆうに6年から7年は先行していた。

そして、このミニの技術的優位性はサーキットやラリーでも遺憾なく発揮され、そのジャイアントキラーぶりで多くの観客を熱狂させてもいる。そんなモータースポーツでの活躍が、このクルマの人気に拍車をかけ、王室メンバーからポップスター、一般のひとびとまで、身分に関係なく選ばれるモデルとして、ある種の流行を創り出すこととなったのだ。

ミニはひとびとに愛されるモデルだった。全体的に丸みを帯びたボディに、大きく口を開けたフロントグリル、さらに、そのヘッドライトはまるで何かを訴えかけるかのようであり、つねに活気溢れるAシリーズエンジンのサウンドも、このクルマの魅力的にしていた。

かつて、BMCは女性誌に、ミニの運転席に座りそのBピラーに抱き着く女性の写真とともに「ミニ、このクルマでしか味わえない気持ち。すべてがうまくいかないときも、ミニはあなたの味方です」というキャプションを付けた広告を出している。昔もいまも、ミニはペットのような存在であり続けているのだ。

ペット同様、ミニにも数多くのバリエーションが存在し、デビューからほどなくして、エステートとバン、そしてピックアップモデルが登場するとともに、続いて初代クーパーが生み出されている。1963年には、「大型モデル」のミニチュアとでもいうべき珍妙なライレー・エルフとウーズレー・ホーネットが誕生し、その後には、軍での正式採用に失敗したモークがデビューしている。

こうして登場した数多くのバリエーションモデルの成否は様々だったが、もしかしたらBMWも同じようなモデル展開を考えているのかも知れない。

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