ボディ保護フィルム、始まりはベトナム戦争 F40で知るそのヒミツ

公開 : 2019.03.09 05:50

Xpelアルティメットプラス

では、フィルムの材質とは一体なんだろう? 素人目には単なる工業用フィルムにしか見えないが、ルースはさも面白そうにこちらを見ながら、正解を教えてくれた。

「Xpelアルティメットプラスという業界トップの製品です。特殊なポリウレタン製シートが、飛び石などの衝撃を吸収してボディを保護するだけでなく、自己修復機能を持つトップコートは、鍵のような鋭利なもので突き刺されても問題ありません。このトップコートはゲル状物質でできており、どうしても避けられない小さな傷などは、自ら修復してしまいます」

まるで無敵の保護フィルムだが、それを証明すべく、ジュールが短く切ったケブラー素材でフィルムに傷をつけてから、スチーマーで熱を加えると、魔法のように傷は次第に見えなくなっていった。

「ソフトウェア上にテンプレートが用意されていて、コンピュータ制御のプロッターでフィルムを切り抜くことで、ボディパネルごとの形状にカットすることができます」とジュールは言う。

F40用のテンプレートは片側分しか用意されておらず、反対側は単に裏返して使用するのかと思ったが、彼は完璧主義者であり、自分でテンプレートを準備していた。彼らが扱っている古いモデルの多くでテンプレートが用意されていないため、ジュールはこのやり方にも慣れているようだ。

この保護フィルムの問題のひとつが、幅が最大1.5mまでしか対応できないことであり、F40のボンネットのように、大きくフラットな面に対しては、1枚のフィルムでは足りないため、複数枚を繋げて使用する必要がある。

ジュールはボンネットの段差をうまく使って、3枚のフィルムそれぞれのつなぎ目を目立たないように処理すると、あとはフィルム自体の性能もあり、どこで接続してあるのかほとんど見分けがつかなかった。

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