ボディ保護フィルム、始まりはベトナム戦争 F40で知るそのヒミツ

公開 : 2019.03.09 05:50

驚くべきコンビネーション

F40でこのフィルムの施工方法を見るのにもっとも適したフラットな面といえば、スポイラーということになるだろう。だが、最初に行うべきは、塗装面のクリーニングであり、その際には、懐かしの粘土クリーナーと、ベビーシャンプーを使用するのが理想的だという。

ジュールはこのふたつを使って、塗装についたウォーターマークを除去すると、次にフィルムをボディにのせ、大量のスチームで徐々に伸ばしていくが、ジュールが前後に滑らせている手の動きが止まることはない。なぜなら、手からも熱が伝わるため、1カ所に留まることはできないのだ。さらに、曲面にフィルムを馴染ませていくには非常に高い技術が要求される。

経験の少ない作業者の場合、テンプレートを使用せず、驚くべきことに、実車のうえでフィルムをカットすることもあるのだと、ジュールは苦々しく話してくれた。

スポイラーの作業では、次にアルコール溶液をスプレーすることで、フィルムの馴染みを促すが、完全にフィルムが安定する前には、塗装面の下からカーボンファイバー繊維が顔を覗かせていた。

フィルムが黄ばんだり、紫外線をカットしたりすることはなく、そのため、フィルムの下にある塗装面も、保護されていない部分とまったく同じように紫外線の影響を受けることになる(すべての塗装面は、長年太陽光を浴びることで、徐々に色が褪せていくのだ)。

ルースによれば、メーカーが設定した価格以外に費用は一切かからないという。すべては作業時間次第であり、通常、テンプレートの準備に1日、フィルム貼り付け作業には1週間を要すると言う。

通常の2倍以上の作業時間が必要となるF40でもなければ、フロント部分だけの施工で1500ポンド(22万2000円)から、ボディ全体にフィルムを貼り付ける場合には、4500~5000ポンド(66万5000円~74万円)からというのが一般的な料金となる。

ヘリコプター用の保護テープとフェラーリF40とは、なんという組み合わせだろう。

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