ラインの終わりは旅のはじまり 完成車の輸送行程を追う

公開 : 2019.03.16 18:50  更新 : 2021.03.05 21:36

列車への積み込み

その列車への積みこみには数時間もかかる。8名の運転手が出荷場からクルマを乗りだし、20両編成の巨大な2段積み車運車へユーロトンネル列車のようにバックで載せていく。積みこんだらスポルテージで出荷場へとって返し、延々とそれをくり返すのだ。

自動車工場の現場でいちばん印象にのこるのが、運転手として働く従業員のおおさだ。この人件費削減のためにも自動運転導入に躍起になるのは、なるほど道理だ。ひとつの鉄道便で運べる台数は車種によって異なる。スポルテージなら227台、すこし小柄なシードだと252台だ。

ここでいきなりだが、話はクックスハーフェンに飛ぶ。というのも、まる1日かけてチェコ/ポーランド/ドイツをまたいで1000kmほどもレールをきしませて走るこの自動車専用貨物列車には、当然ながら人間を乗せる場所などないのだ。積み荷のクルマに乗せてもらえないかとキアに頼んでもみたが、さすがに断られた。

さておき、この北海に面する港町クックスハーフェンは英国むけ貨物船の発着も盛んだ。エルベ川の河口が開くおかげで干潮時にもじゅうぶんな水深があるので、船舶もタグボートの助けを借りずに接岸でき、まさに自然の良港といえる。また、ここからドイツ各地への輸送網も非常に発達している。

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